未来の街づくりに「ロボット」が果たす役割とは 代替からシステム連携、「協働・協調」の段階へ

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オフィスビルから街へ。ロボットの活躍の場は広がり始めている
少子高齢化と人口減少が加速度的に進む中で、ロボットの有効活用が求められている。2023年4月には改正道路交通法が施行され、公道のロボット走行が解禁。「ロボット宅配」が可能になるなど、屋内外で多種多様なロボットが稼働することが現実的となってきた。はたして、近未来の街ではどんなことが実現するのか。そして、街づくりには何が必要なのか。「ロボットサービスプロバイダー」として多数の実証実験に参画し、国のルールづくりにも携わるTISに取材した。
本記事広告は、全4回連載で、TISにおけるビジネスイノベーションユニットの取り組みをお届けする。第2回となる今回は、「ロボット活用」をテーマに話を聞いた。
ビジネスイノベーションユニットのオファリングメニュー

先端的なロボ活用「東京ミッドタウン八重洲」

近年、ロボットをめぐる取り組みは急速に進んでいる。政府は2015年に「ロボット新戦略」を公表。経済産業省は35年にロボット市場が10兆円規模になると予測しており、ロボットを導入しやすい“ロボットフレンドリー”な環境の実現に向け、ロボット関連の施策を次々に打ち出している。

そうした中で、先進的なロボット活用を実現したオフィスビルとして注目を集めるのが、23年3月にオープンした「東京ミッドタウン八重洲」だ。デリバリー、清掃、運搬と複数のサービスロボットが導入されている。

デリバリーロボットと清掃ロボットは完全自律走行が可能で、自動で運搬や清掃を行うだけでなく、エレベーターをロボットが自ら呼んで乗降階を指定することもできる。

東京ミッドタウン八重洲のロボット活用
当複合施設ビルにおける施設内配送や清掃業務において、人とロボットの協働を実現する予定

コロナ禍で普及したフードデリバリーサービスは、セキュリティーの観点からオフィスロビーなどで受け渡しをしていたが、その必要もなくなった。従来、ロボットがフロア移動するには、人がエレベーターに同乗する必要があったが、設計から環境整備を行うことで完全な省人化が実現可能となったという。東京ミッドタウン八重洲の取り組みは、ロボットを社会実装していくうえで大きな転換点となりそうだ。

TIS ビジネスイノベーションユニット シニアプロデューサー 松田一彦氏
TIS
ビジネスイノベーションユニット
シニアプロデューサー
松田一彦氏

「一般的に、これまでロボットは人の作業を『代替』する役割を単体で担ってきましたが、昨今はロボットシステムが建物OSや都市OSと連携し、代替率をより高めた業務効率化や新たなサービスシナリオで付加価値と売上を創出する動きが高まっています」と話すのは、ロボットに関するコンセプトデザインやルールの策定、新サービスの開発に関するさまざまな案件を担当・リードするTISの松田一彦氏。

オフィスや商業施設内において、複数のロボットを連携させる場合、どのような制御や設計を行う必要があるのだろうか。

松田氏とともにTISでロボティクス事業に携わる中西崇氏はこう話す。

「施設内で適切に動かそうとすると、エレベーターやドアなどとの連携もしなくてはなりません。単体ではなく、複数のロボットが同時に動くとなると、統合的に制御する必要もあります。人やロボット同士の衝突を回避するための交通ルールを設定するなど、リスクアセスメントも重要です。ロボットのサイズを考慮した通路幅の確保や、センサーの能力を踏まえた壁材の選定、傾斜路の勾配も登坂性能に合わせるなど、設計段階からすべきことがたくさんあります」

複数のロボットが同時に活躍できる環境を整えようとすると、配慮すべきことが格段に増えるのだ。さまざまなメーカーで作られているロボットを、セキュアかつ適切に統合管理するのも決して容易ではない。

複数ロボットを統合管理する「価値」

そんな中、ロボティクス関連サービスを必要とする日本の企業を支援し、企業の組織・業務・プロセス、さらには人の生活そのものに変革を起こす包括的サービスとしてTISが開発したのが、「DX on RoboticBase®︎だ。

「『DX on RoboticBase®︎』は、DXをロボティクスで実現するソリューションです。複数ロボットを統合管理するマルチロボットプラットフォーム『RoboticBase®︎』とロボット導入コンサルティング、そして複数のロボットのインテグレーションを合わせて、パッケージでご提供しています」(中西氏)

統合管理することでロボットの活動範囲を広げつつ、トラブル対応もできる。さらに、オンデマンドでのロボット活用が可能になることで、人とのタスクシェアや、従来人にしかできなかった仕事の移行もできるようになるだろう。機能をどう活用するかというロボット起点の考え方から、全体を俯瞰していかにロボットを適切に機能させ、課題解決につなげるかという考え方へのシフトを促す付加価値の高いソリューションともいえる。

「現在、異機種複数ロボットの安全運行と業務横断のシステム連携が進行中で、今後は多様なAIをロボットと人が協働するワークフローシステムに組み込むことにより、業務の革新が進んでいくでしょう」(松田氏)

東京・豊洲のTISオフィスでも、「DX on RoboticBase®︎」を使った本番運営が行われている。今後は屋外へも幅を広げて「街」でのナレッジも蓄積していく予定だ。

リスクアセスメントと適切なルールづくりが重要

オフィスビルから街へ。ロボットの活躍の場を広げる動きを後押しするのが、2023年4月に施行される改正道路交通法だ。ロボットは「遠隔操作型小型車」と区分され、最高速度を時速6km以下に設定。主に歩道や路側帯を走行し、信号に従うなど、歩行者と同様の扱いだが、イメージとしてはビル内のデリバリーロボットと変わらない。しかし、すぐ運用可能かというと、ビル内の統合管理と同様にそう簡単な話ではないようだ。

「段差やくぼみなど、現場に即したカスタマイズが必要ですし、充電場所や通信環境の整備も不可欠です。歩行者との衝突回避策は、ビル内以上にさまざまなシナリオを想定しなければなりません。IoTやAIといったテクノロジーも駆使し、いかに現実の街に適合させて共生できるようにしていくかが重要です」(中西氏)

裏を返せば、今後の社会が解決すべき課題を見据え、ロボティクスとあらゆる関連技術を複合的かつ適切に組み合わせることが「近未来の街づくり」のカギを握るということだろう。幅広い業界・分野にITサービスを提供し、技術だけでなく新サービスのコンセプトデザインやシナリオ策定で力を発揮してきたTISが、ほかにはない「ロボットサービスプロバイダー」として存在感を発揮し、国からルールづくり等の支援を依頼されている理由はここにある。

「ロボットと人が共存する豊かで安心安全な街には、サービスモデルやシナリオに加えて、適切なルールづくりと厳格なリスクアセスメントが必要だと考えます。TISは、この3つのポイントを踏まえ、様々な業務や施設特性にあわせてプラットフォームをテンプレート化し、社会課題解決に貢献していきます」(松田氏)

これまで、ロボットはバックヤードでの展開が主流だった。しかし、少子高齢化と人口減少が進む今後、フロントヤードでの活用が求められるようになるだろう。10年後、どのような「街」が出現するのか。そう両氏に聞いたところ、次のような答えが返ってきた。

10年後の街のイメージ
大規模開発エリアにおいては、近い将来、ロボットが地上と地下、またビルの内外を縦横に走行する

「例えば、居宅内パートナーロボットが、家事支援ロボットや宅配配送ロボットと連携することにより、超高齢化社会における健康寿命延伸に貢献するシナリオも考えられます。一方、街の中では、つえをついて歩いている方に近寄り、歩行をアシストするロボットも考えられるでしょう。あるいは、マーケティング情報を基にして、適切な時間にロボットが商品を売り歩く光景も出現するかもしれません」

そうして稼働したロボットから取得されたさまざまなデータとロボットの組み合わせから、想像もつかない付加価値のシナリオが生まれる可能性も当然あるだろう。そうした近未来の社会の起点として、サービスモデル策定やリスクアセスメントと安全かつ効率的な運営を支えるロボットプラットフォームを展開するTISの役割は、ますます重要となってきそうだ。

TISが推進する「オフィスや街でのロボット活用」の詳細はこちら

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