物流

物流改革フォーラム インダストリー4.0と先端パーツセンター

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【事例講演Ⅱ-2】
「物流センターに求められる建物性能について
(機能性と安全性)」

フクダ・アンド・パートナーズ 設計・建設支援本部 エンジニアリング部 課長
湯川 聡氏

建設と不動産の専門パートナーとして、2001年より物流・商業施設の開発や最適な施設づくりを実現してきたフクダ・アンド・パートナーズ。同社の湯川聡氏は、物流センターに求められる機能性と安全性について解説した。

特に安全性においては、BCP対応について詳細な説明を展開。「地震時の被害想定や、その土地が地震に見舞われる確率、液状化や地割れなどでアクセス不能となるリスク等を調査する必要がある」と語った。また、建物の耐震性能の確認などについて、東日本大震災の事例を挙げて解説。「物流施設の保管品やサービスは事業者にとってビジネスの生命線。東日本大震災では、荷崩れやラックの崩壊、間仕切り壁の落下等も発生しており、これらもリスク要因となる」と指摘した。

建物の工法の種類としては耐震、制震、免震の三つが挙げられるが、免震構造では「荷物の転倒や落下の原因となる加速度が耐震の1/5程度まで低減できた観測結果も得られている」と湯川氏。このことからも「南海トラフをはじめ、大地震に直面する可能性は否定できない。免震構造は建設コストが約10%程度割高になるが、リスクマネジメントのためにも、災害に強い物流倉庫を検討してほしい」と、湯川氏は強調した。

【特別講演】
「日本のものづくりを支えるトラスコ中山の物流力」

トラスコ中山 執行役員 物流部長
佐々木伸昌氏

機械工具、物流機器などの工場用副資材の卸売を行うトラスコ中山。同社において全国の物流センターを統括する佐々木伸昌氏は、まず、取扱商品のロングテール化について背景を解説。「欲しい商品を早く、正確に届けてほしいというお客様のご要望を当たり前に実行した結果。もともと当社は業界最後発のため、すき間商売の強みを生かす必要があった。また、PB商品の導入などの歴史的背景もある」と説明した。

通常ならば非効率領域とされるロングテール商品の物流だが、「この非効率性を効率化するオペレーションの最大の武器は、在庫である」と佐々木氏は語る。「当社では現在、約23万アイテムの在庫を管理している。在庫を増強することで、即納を実現できる。また仕入れ先様への在庫や納期の確認が不要となり、入荷ロットをまとめることで入庫や検収作業件数を削減できるなどのメリットがある」と述べた。

現在同社では、全国3カ所のコアセンター、10カ所のエリアセンター、33カ所の在庫保有支店によって在庫を管理。在庫適正化システムで、すべての拠点における各アイテムの定番・定量管理を行っているという。「在庫保有支店には、エリアのお客様に応じたアイテムが2~3万ずつある。ご用命いただく商品をお客様に最も近い拠点に在庫することで、迅速な納品を可能にしている」と佐々木氏は明かした。

今後は最大規模のコアセンターを新設し、在庫を35万アイテムに増強する予定だ。佐々木氏は「異形物や長尺物等の在庫管理方法の高度化や、入出荷業務の最適化をはじめ、ますます “ロングテール卸”に機能特化した入出荷体制や設備を整えていく」と、決意を述べた。
 

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