物流

物流改革フォーラム インダストリー4.0と先端パーツセンター

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グローバル化に向けた製造業の課題を考える「インダストリー4.0と先端パーツセンター」が3月16日、東京都・中央区で開かれた。
共催:野村総合研究所・東洋経済新報社、協賛:野村不動産
野村不動産 都市開発事業本部 物流施設事業部長
山田譲二氏

冒頭では、野村不動産の山田譲二氏が「本セミナーは主に精密機器、電気機器、自動車部品を扱う製造業の方にお集まりいただいた。本日講演される物流の専門家の方々のお話を日頃の業務の参考としていただきたい」と協賛社を代表して挨拶し、幕を開けた。

【基調講演】
「インダストリー4.0とグローバル製造業の課題」

野村総合研究所 主席研究員
藤野直明氏

「インダストリー4.0」とは、ドイツの産学官が一体となって活動している産業政策としての協働活動のこと。その狙いについて野村総研の藤野直明氏は、「今後、急拡大する新興国マーケットにおける生産能力の拡大およびスピード確保と、サービサイゼーションという二つの戦略実現を目指している」と説明。中小企業を巻き込み、国際標準を意識した活動になっていることが重要なポイントだという。

インダストリー4.0が目指している統合のかたちとして、藤野氏は「企業国籍の枠を超えたバーチャルな企業活動を実現するネットワーク」「アフターサービスまで一括管理できるようなエンジニアリングチェーン」「世界中の現場から本国でリアルタイムに生産実績情報を収集分析し、改善するための管理システム」の三つを挙げた。

藤野氏は、インダストリー4.0仕様の工場の新興国進出例として、中国におけるドイツ自動車メーカーの組立工場を紹介した。インダストリー4.0を牽引するドイツ企業がフルターンキー(設計から機器・資材・役務の調達、建設および試運転までの全業務を一括して請け負う契約)で納入。複雑な制御などのノウハウはブラックボックス化され、現地作業員は単純な制御のみを担い、高い習熟を要しない。にもかかわらず全車種を1本の生産ラインで製造(変種変量生産)し、99%以上の高い稼働率や高品質を実現しているという。

一方、日本では、FAや工作機器の国際的メーカーが多いがゆえに、企業や機器の枠を超えて連携することが難しく、標準化は立ち遅れているのが現状だ。藤野氏は、「日本企業はすべて自社で構造を作ることにこだわり、それが競争優位性を生み出していた。しかし現場による調整能力頼みのオペレーションは、グローバル化で限界に達している」と分析。「日本の製造業は、国際標準化を掲げて動きつつあるドイツやアメリカの動きを理解し、自社が有利になるように設計する作業に加わることが必要。また、このような民間企業の動きを、業界団体や政府関係機関が支援していくことも求められる」と提議した。

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