中国コロナ政策急転換で国民の治療情報はSNS頼み 政府の助言や保健当局者への信頼が失われて
中国が新型コロナウイルス戦略を急転換したことが政府の助言や保健当局者への信頼を損ない、国民はコロナ感染症の治療に関する情報をソーシャルメディアのインフルエンサーや著名人に頼っている。
中国では昨年末の数週間にコロナ対策の制限措置が突然緩和されたことで感染者が一気に増加。これまでほとんどコロナ禍に見舞われていなかった都市や町でも感染が広がりつつある。政府が方針を急転換したため、人々はますますソーシャルメディアに答えを求めるようになり、その結果誤った情報や危険なアドバイスまで増えている。
変異株「XBB」が下痢を引き起こすかどうか、肺炎の最良の治療法は何かといった一般的なコロナ感染症の治療に関する質問を中国のインターネットで検索すれば、大量の回答がヒットする。ビーガンダイエット(完全菜食主義者の食事)や複数の抗体取得に加え、なかにはネット上の著名人から違法な酵素を購入する方法まである。
パンデミック(世界的大流行)の間、特に政府のコロナ対策が疑問視されたり、効果がなかったりした場合など多くの国で、検証されていない治療法やネット上のアドバイスにも目が向けられた。主に家畜や人間の寄生虫による病気の治療薬として認可された「イベルメクチン」が米国でもてはやされたのは、その典型的な例だ。
中国のケースが異なるのは、そうした状況に政府への反発が伴っている点だ。