公園の池の水抜いたら「死の池」に…衝撃の実態 魚が消え、鳥が来なくなった意外な原因

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でも、もしそんなことをしたら大変なことになります。一帯が暑くなって、巨大な上昇気流が起こる。これは煙突みたいなものです。竜巻のような嵐が出てくるのは当然なんです。こんなことをしたら地球環境がむちゃくちゃになってしまいます。

さらに、メガソーラーを導入してしまうと、その建設地にいた小さな虫がいなくなってしまうという問題もあります。『絶滅危惧の地味な虫たち』(小松貴著、筑摩書房)を読むと、メガソーラーの普及により、絶滅の恐れがあるメクラチビゴミムシの生息地が失われていることがわかりました。

彼の言い分では、保護されているのはきれいなチョウや大型の甲虫などばかりで、小さくて地味な虫は保護されていない。だからこのような「絶滅危惧種を保護しよう」などという運動は、「人間にとって」きれいなものだけが対象ではないかと怒っているわけです。確かにそのとおりです。目に見えないようなものは保護されていないのです。

ここでもう一度ちょっと考えてみましょう。どうして再生可能エネルギーが大事だとみんなが考えるようになったのか。

実は、こういうことなんです。人工的なものはいつか破綻するだろう。原発がそのよい例である。だから自然のもののほうがいいに決まっている。自然のものはタダだ。資源が無尽蔵だからいいのだというのです。

ところが、最初は非常にいい試みだとみんなが思ったわけですが、間違いだということがだんだんわかってきました。コストも非常に高いし、気象はコントロールできません。だから安定供給ができないのです。安定供給ができないということは、ひたすらお金だけがかかってうまく使えないということになります。もちろん、これを効率よく使えるようにするのも一つの方法なのですが、今の段階ではまったく役に立たないという考えがだんだん広まってきたのです。

例えば、潮力を使った潮流発電も期待とおりには進んでいません。潮流発電というのは、自然に起こる潮の満ち引きを使うわけですから、タダのエネルギーです。これもまたいいのではないかとみんな思ったわけですが、実際にやってみると、実用化が難しく、なかなか使い物にならないことがわかりました。

「保護」と「保存」と「保全」の違い

ここで、ちょっと大事なことを覚えておいてください。「保護」と「保存」と「保全」の違いです。

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「保護 (protection)」というのは、対象物に対して外部からの改変しようとする力を除き、自然状態のままにしておくことです。これはどういうことかというと、例えばアマミノクロウサギを保護しなきゃいけませんねというと、奄美の自然をそのままにしておけばいいということになります。

次に、「保存 (preservation)」は何かというと、必要に応じて修復しなければいけないものが対象です。例えば、平安時代に造られた建物はだんだん腐ってくるわけですが、それをちゃんと修復しておいておく、ということが保存になります。

さらに、「保全(conservation)」とは何かというと、これはより良い状態にすることで、改善することも含む概念です。こちらのほうが人間の力がたくさん入っている。それを保全と言います。

だから、この3つは違う意味だということは知っておいてください。特に、「環境保全」は違う意味に使われていることが多いので、注意が必要です。

石浦 章一 東京大学名誉教授

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いしうら しょういち / Shoichi Ishiura

1950年石川県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院理学系研究科相関理化学博士課程修了。専門は分子認知科学、サイエンスコミュニケーション。東京大学名誉教授、新潟医療福祉大学特任教授、京都先端科学大学特任教授、同志社大学客員教授。近著には『理数探究の考え方』(筑摩書房)、『サイエンスライティング超入門』(東京化学同人)、『小説みたいに楽しく読める生命科学講義』(羊土社)など。編著や訳書も多数。

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