20代・30代にMBAがなぜ必要なのか?

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20代、30代の社会人の中には、MBA(経営学修士)に関心を寄せている人はたくさんいるだろう。だが、MBA取得に向けたアクションを起こせずにいる人は少なくない。しかし、そうやって躊躇していても、何も変わらない。いたずらに時間が過ぎるばかりだ。若手社会人が今、MBAを目指すべき理由について、グロービス経営大学院で経営研究科 研究科長を務める田久保善彦氏に伺った。
 

チャンスの多い若い世代こそ
自らの能力を高めるべき

 ビジネススクールへの進学を検討している方の目的や動機は、「起業したい」「転職したい」「希望の部門に異動したい」「現在働いている会社に変革をもたらしたい」「経営者としての実力を高めたい」といった具体的なものから、変化の早い今の時代に対する漠然とした不安や危機感を解消したいといったものまでさまざまでしょう。

田久保善彦
慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所にて、エネルギー産業、中央省庁(経済産業省、文部科学省他)、自治体などを中心に調査、研究、コンサルティング業務に従事。現在グロービス経営大学院にて企画・運営業務・研究等を行う傍ら、リーダーシップ開発系・思考系科目の教鞭を執る。

今挙げた目的や動機は、年代によって大きく変わるものではありません。では、MBAを目指すにあたり、20代、30代の人たちが意識しておくべきことは何でしょうか。

それは「若さ」です。この世代の定年は70歳以上になっている可能性が高く、それを前提に考えると、早い段階でビジネスの基礎力を身につけておくことは、先輩たち以上に何十年もその力を活かせることにつながってくるのです。シンプルに言うと若い人のほうが、投資対効果が高いのです。

細菌学者ルイ・パスツールの「Chance favors the prepared mind(チャンスは準備できている人に微笑む)」という言葉があります。20代・30代の人たちは、これからの長いキャリアの間に多くのチャンスにめぐり合うでしょう。その際、能力を高めておかなければ、希望するポジションにつくのは難しいでしょうし、やりたいことを任せてもらう機会も得られないでしょう。たとえ偶然にも願いが叶ったとしても、結果を出せず相当な苦労を強いられることになるかもしれません。

MBAで学ぶのはビジネスの原理原則
組織に必要な人材となるために学ぶべきこと

「MBAは外資系やグローバル企業、大企業の社員が取得するもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、グロービス経営大学院には、そうした企業の社員だけではなく、起業家やベンチャー企業・中小企業勤務の方、地域に根差した小規模ビジネスを展開する企業の事業承継者、それに医師や看護師、弁護士、会計士、公務員、NPOに所属されている方など、ありとあらゆる職業の方が集っています。

 

グロービス経営大学院の学生プロファイル(2014年度)

 

 「人事組織」「マーケティング・戦略」「会計・財務」の3領域、つまり経営資源の3要素であるヒト・モノ・カネに関する知識を体系的に修得するのが、世界のMBAプログラムの共通領域です。野球をするには、野球のルールを最低限知る必要があるように、ビジネスを行うにもビジネスのルールを知らなければなりません。企業に勤めている人なら、人事異動は当然のこと。辞令が下りたときに「それは自分の専門外だから」という逃げは通用しません。また起業したい、新規事業を立ち上げたいと思っても、MBAで学ぶ領域に疎いようでは、利益を生み出せず、いずれ組織存続の危機に見舞われることになるかもしれません。

 ビジネスの基盤がローカルであれ、グローバルであれ、事業規模の大小や業種を問わず、組織を維持していくためには、利益を上げ続けなくてはならないのです。そのために、組織には営業やマーケティング、人事や経理といった所属部門の垣根を越えて、あらゆる領域を一気通貫で見ることができるリーダーが必ず必要なのです。経営全般の知識を備え、それらをビジネスで実践するための力を養っておくことは、組織に必要な人材となるためには避けては通れないことなのです。

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