ビジネスの加速を支えるIT
企業向けクラウドは次のステージへ
ブレイクアウトセッション
ユーザー事例
仮想化基盤を作ってみて、使ってみて、
あらためてわかった事
12年度に仮想化共通基盤を導入した鹿児島銀行のシステム部長の赤塚典久氏が、鹿児島県と同行を紹介したのに続き、同部システム開発グループ主任調査役の吉永聡氏が、同基盤の導入について説明した。
同行は、乱立していたサーバーのうち、統合効果が高いと見込んだ138台を、仮想化共通基盤によって12台に集約する取り組みを進めている。吉永氏は、最新サーバーでも旧OSが利用できるので、サーバー更改に伴うアプリの改修が不要で更改期間を短縮できることや、サーバーを停止せずに保守が可能になるなど、仮想化のメリットが多いことを説明。「サーバーの台数が減ったことで、限られた予算でも信頼性の高い機種を選択でき、障害頻度も減った」と語った。
ただ、行員だけで仮想化共通基盤を運用するにはノウハウが不足していたため、同行は、CTCのインフラ運用サービス『CUVICAvail(キュービックアベイル)』を採用。CTCのレポートやアドバイスを受け、最適なリソースの再配分もできるようになった。吉永氏は「今回は、将来のクラウド推進に向け、移行環境を整えるためのステップ」と述べ、さらなる効率化への取り組みを検討している。
西武グループの
ITインフラ共同・標準利用について
西武グループの事業は、都市交通沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業など多岐にわたる。グループの持株会社、西武ホールディングスの情報システム部は、各社のITインフラの共同・標準利用の推進がミッションだ。同部マネジャーの前川芳範氏は「システムインフラに関する運営ノウハウの共有、人件費を含めた運営コスト軽減を図り、グループ会社が協業しやすい環境を整えたい」と話す。
グループのクラウドインフラにおいては、利用認証、電子メールやスケジュール管理、ID管理、社内情報共有など基礎になるシステムを、従来から進めていたストレージ、サーバのクラウド化に続いて、グループ展開を開始した。グループ会社のシステム化や更新時期にあわせ、順次、導入できる形態をとることにした。前川氏は「こうしたやり方では、リソースを後から自由に追加できるクラウドインフラのメリットが生きる」と、語る。CTCのクラウドインフラ『ElasticCUVIC』を選定した理由については「データセンターにカスタマーエンジニアが駐在していて安心度が高い。しっかりしたサービスを比較的安価に提供している」と、品質とコストのバランスを挙げた。
変化の激しい年金制度を支える
システムインフラのあり方
システム構築・運用を手がけるシーエーシー(CAC)は、新たに提供を開始した年金管理パッケージ『Micmari(みくまり)』のインフラに、CTCの『ElasticCUVIC』を採用した。一部競合関係にあるCACも、その安全性や拡張性を高く評価している。
信託銀行向けの年金システム開発運用を受託しているCACは、12年の年金綜合研究所設立にかかわるとともに、年金業務を行う信託銀行や生命保険各社が共通で利用できる年金管理パッケージの開発に取り組んだ。同社執行役員 社会保障ビジネス本部長の加藤肇氏は「年金制度は変更が頻繁にあり、その都度、システム変更も必要になる。全体の半分程度でも、システムを共通化できれば、コスト軽減に貢献できる」と話す。インフラには、金融情報システムセンター(FISC)基準に適合したデータセンターを持つ安全性の高さ、膨大なデータの保存・処理が可能な拡張性の高さといった条件が課される。加藤氏は「MUST18項目を満たし、WANT23項目の評価との合計で最高点だったのがCTC。今後は、年金システムの海外展開も検討しており、CTCの東南アジア拠点網にも期待している」と語った。