宗教法人への献金「上限」規制が何とも悩ましい訳 教団に収入把握の正当性与える?裁判なら長期化

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宗教法人への献金に「上限」規制を設ける際に配慮すべきことを、3名の弁護士が議論した(画像:FNNプライムオンライン)
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自民党消費者問題調査会顧問の柴山昌彦元文科相(弁護士)は23日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」(日曜午前7時30分)に出演し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済策に関し、宗教法人への献金に「上限」規制を設けるべきかどうかについて、「宗教法人側に信者の収入や預貯金を調べる余地を認める」ことになりかねず、「難しい問題だ」との認識を示した。

高額献金など宗教に関する制度制定の難しさ

国会では、旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐり、被害者救済に関する与野党協議が始まっている。立憲民主党と日本維新の会が共同提出した法案では、マインドコントロールなど、正常な判断ができない状態で、可処分所得の4分の1を目安に「著しい損害」を生じさせる行為について、取り消すことができる、としている。また、被害者の家族らが寄付を取り消せる制度も盛り込んだ。

番組に出演した弁護士の菅野志桜里氏(前衆院議員)は柴山氏の意見に同調、「ほかの宗教団体にも『収入把握してください』という方向になりかねないことを危惧(きぐ)する」と述べた。被害者の家族らが献金を取り消す制度については、献金当事者の財産権を侵害する恐れがあることを指摘した。そのうえで「今回(旧統一教会問題)を解決しつつも、必要以上の網掛けを広げすぎない。このバランスを保つ努力も続けてほしい」と強調した。

(画像:FNNプライムオンライン)

番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)は「いい献金と悪い献金は絶対に区別できない。ほかの宗教団体に広がったとしても、収入要件を決めて簡単に取り戻せるルールをつくるほうがメリットは大きい」と主張。マインドコントロールについて定義するのは難しく、裁判で争われた場合、長期化するとの見方を示した。

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