博多大吉｢生理痛のあまりのつらさを知った衝撃｣ 高尾美穂医師と一緒に｢生理｣について考える

高尾：私もそう思います。PMSでも更年期でも、同じ考え方をする人が多いです。なおかつ、さっき大吉さんがおっしゃったように、死ぬわけじゃない。それも女性はよくわかっていて、だから病院に行くのではなく〝耐える〟〝やり過ごす〟ほうを選ぶんだと思います。

生理痛とひと口に言いますが、起こっていることは同じでも、感じ方や表現は人によって違うんですよね。それは、クリニックの外来でも感じます。私たち医師にどう伝えてくれるかは、本当に人それぞれです。女性にきいたアンケートでも、生理痛について実に表現力豊かにあらわしてくれていますよ。ちょっと見てみましょう。

生理痛はここまでつらいとは知られていない

大吉：アンケートを見ると、「内臓を掴んでぐちゃぐちゃに掻き回されているような痛み」とか「内臓をS字フックで引っ張られるような痛み」とか……。ほとんどの男性は、こんなにもつらいものだと思ってないですよ。自分が経験する「お腹が痛い」を基準に考えて、トイレに行ってちょっと休めば治るぐらいのものだと思っているんじゃないかな。陣痛については想像を絶する痛みなのだろうと思いますが、生理痛がここまでというのは知らないに等しい。しかもこれを毎月経験しているとはね。

高尾：「できることなら子宮を捨てたい」という回答もありますけど、本心からなんでしょうね。しかも一瞬の痛みじゃないですからね、これが半日ずーっとつづく人もいるんです。これだけしんどい思いをしている人が、こんなにいるんだとあらためて実感しますね。このなかには、婦人科で診てもらえば病気が見つかって、対処することで痛みから解放されるであろう人が含まれているとは思います。でも残念なことに、日本では生理痛で病院にアクセスしようと考える人が多くはない。

たしかに検査の結果、生理痛を重くする原因が特に見つからないこともあります。でも痛いものは痛いんです。その一方で、ストレスがかかっているときのほうが生理痛を強く感じるというデータもあります。仕事を休んでゆっくりできたら痛みがここまでにはならないという可能性もありますが、そうもできないから、こんなに苦しい言葉が出てくるんでしょうね。