オリックス・バファローズ森脇監督×
ソーラーフロンティア平野社長 Special対談 トップが語る「組織論」「リーダーシップ」「人材活用術」とは?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

リスクを恐れず立ち向かう――
背中で語る「リーダーシップ」

森脇浩司
(もりわき・ひろし)
オリックス・バファローズ 監督/1960年生まれ。兵庫県出身。社高からドラフト2位で79年に近鉄入団。広島、南海・福岡ダイエーで活躍し96年に現役引退。その後、福岡ダイエー・福岡ソフトバンクでコーチ、二軍監督、監督代行、巨人で二軍コーチを歴任し、2012年にオリックスのチーフ野手兼内野守備・走塁コーチ、監督代行に就任。13年から監督を務め、翌年には6年ぶりのCS進出へと導いた。

森脇 正直言いまして、僕はこんなに人に恵まれている人間もいないだろうと思っています。2012年にオリックスのコーチとしてお世話になるようになってからも、フロントも含めて十分にコミュニケーションが取れていて、ご縁に感謝してきました。ただ、そのなかで監督を務めるということは、やはり結果を求め、出る結果はすべて必然だと受け止めながら原因を追及し、ひたすら突き進まなければなりません。チャレンジすれば当然、批判も必ずつきまといますが、リーダーとして大切なのはリスクを恐れない勇気だと考えています。

――リスクを恐れない勇気や覚悟。組織が大きくなると変わってくる部分もあると思いますが、平野社長はあるべきリーダーシップについてどうお考えでしょうか。

平野 ベンチャーで事業を立ち上げた時代は恐れるものなどなく、新しいチャレンジをしてリスクをとろう、という風土だったのですが、だんだんと組織が大きくなっていくと、やはり守りに入る意識が生じます。プロスポーツの世界とは少し違い、「日々の勝ち負け」が明確でないなかでは、知らず知らずに間違った方向に進んでしまうことの恐怖はより大きいかもしれません。しかし、そのなかでも組織を鼓舞して、チャレンジすることの重要性は大いに認識しています。監督がおっしゃったこととまったく同じなのですが、それがリーダーに問われているものであり、やはり自分自身が先頭に立って、背中を見せて引っ張っていかなければいけない。それができなければ、いわゆる大企業病に陥ってしまいます。

平野敦彦
(ひらの・あつひこ)
ソーラーフロンティア株式会社 代表取締役社長/1962年生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、85年に昭和シェル石油に入社。2004年に本社営業企画部長を務め、翌05年に執行役員、06年に取締役に就任。10年のソーラーフロンティア㈱発足時から常務執行役員として国内営業、海外営業、メガソーラー開発部門の責任者を務める。12年に取締役常務執行役員、13年に取締役副社長執行役員 営業統括に就任。14年7月より現職。

森脇 守りに入りやすいのは、日本人の特性かもしれませんね。組織がうまくいきかけたら、それを大切にしたいと思う。それは臆病さと表裏一体で、本来必要な変化を拒んでしまうことがあります。そこで大切にしているのは、現場の雰囲気を敏感に察知し、変化を恐れない明るい雰囲気を作ることです。僕はある意味では選手以上に、コーチやバッティングピッチャー、裏方さんと密にコミュニケーションを取ってきました。そうして勇気ある決断ができる空気を作り、それでダメなら責任を取るのは自分だ、ということですね。

平野 おっしゃるとおりで、企業としての問題点や改善余地というものを最も認識しているのは、営業の前線であり、一般社員だと考えます。そういう人たちの声をどれだけ聞くことができるのか、というのがリーダーにとって重要な資質ですね。そういうものを「聞く力/引き出す力」があれば、有用な知恵や情報は、組織のなかにまだまだあると思います。日々状況が変わる新しいビジネスのスピード感のなかで、簡単ではないことではありますが、実際の行動として示していかなければいけません。

森脇 ざっくばらんに話せる雰囲気づくりは大事ですね。野球なら、球場でユニフォーム同士で向き合っても、本当に引き出したい話は出てこない。あまり気の利いたことはできませんが、ホテルで選手と話すときは、その選手が最も好きな飲み物をあらかじめ用意して、部屋で乾杯してリラックスしてもらうようにしています。正面で向き合うと圧迫感があるので、椅子の向きを少しずらしておく、ということもしますね。そうして目の前の小さなことに最善をつくすのが、一番大事なのではないかと。

次ページ個性を活かす組織運営には、行動指針が必要