オリックス・バファローズ森脇監督×
ソーラーフロンティア平野社長 Special対談 トップが語る「組織論」「リーダーシップ」「人材活用術」とは?

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オリックス・バファローズは昨シーズン、リーグ2位と躍進し、今季は押しも押されもせぬ優勝候補に。またチームのスポンサー企業であるソーラーフロンティアは太陽光発電、クリーンエネルギーの分野で成長著しく、グローバル展開も視野に事業の拡大を続けている。それぞれのトップである森脇浩司監督、平野敦彦社長が語る、勝ち続けるための戦略とは?

組織/チームに一体感をもたらす
ボトムアップの力をいかにして引き出すか

――まずは「組織論」について伺いたいのですが、チーム運営、組織運営において、どんなことを心がけていますか?

森脇浩司(以下、森脇) どんな組織、チームでも「より強くなりたい」という願望を持っているものですが、その思いの強さと行動は比例すると考えています。一般的には、プロ野球に入るような選手は皆が素晴らしい才能を持っていると考えられるかもしれません。しかしそのなかでも、「戦える人材」がどれだけいるか、ということには常に気を配らなければいけない。

それも含めて、「現状をしっかり分析して、把握する」ということが重要です。チームの力を把握したら、足りない部分を補強するということにもなりますが、私の場合はまず「人を入れ替えずに、チームを変化させる」ことを望まれました。低迷期間が長く続いていると、つい組織改革に即効性を求めてしまうものですが、こういうときこそ長期的な展望が必要。過去の低迷から学び、目先の勝利が本当に成功といえるのかを常に検証し、いつチームを去ることになっても残すべきものをしっかり残そう、と考えてきました。平野社長も昨年に就任されたばかりですが、どんな課題を持って組織運営に取り組んでいますか?

平野敦彦(以下、平野) われわれの会社はまだ若く、CIS薄膜型太陽電池という技術を事業化してから、今年で10年目です。その間に従業員は40名から1500名と組織が飛躍的に大きくなりましたが、前社長も含め、そのなかでもっとも苦心してきたのが「どうやって組織としての一体感を持つか」ということです。さまざまなバックグラウンドを持って集まった社員たちが、ひとつの目標に向かって走るためのチームワークをどう醸成するか――オリックス・バファローズさんの場合は、長年培ってきたチームのブランドがDNAとして皆さんの体に染み入っていると思うのですが、ソーラーフロンティアはまだ、そこまで至っていません。そのため昨年から多くの社員を集めてワークショップを開き、「ソーラーフロンティアは何を目指す会社で、社会に対してどんな貢献をしていくのか」というブランドバリューの再構築を行ってきました。

森脇 まったく同じ考えです。どの組織も一体感を持ちたいと思いながら、なかなか持つことができない。それは、オリックスが低迷していた原因のひとつでもあると考えています。一軍の登録選手は28人ですが、育成選手も含めた支配下選手、トレーナー、スコアラー、バッティングピッチャーなど多くのスタッフがそれを支えており、100~120人という組織になる。表舞台で戦うのは選手ですが、首脳陣も含め、それを送り出すわれわれが「オリックスの看板を背負っているんだ」という絶対的なプライドを持つことが大切なのです。そして、われわれは多くのファンの方々と一緒に戦っていますから、試合以外の部分でもよろこんでいただき、応援に熱が入って大きな一体感が生まれれば、ホームでのアドバンテージが大きくなる。そうしてホームでの勝率が高くなったことが、昨シーズンのリーグ2位という成績につながったと考えています。個人のアイデアも大切ですが、ファン獲得に向けた営業戦略も含めて、チームとしてのアイデアに共通認識を持つことで、組織力はアップするのではないでしょうか。

平野 とても興味深いお話です。われわれもトップダウンで物事をリードするだけではなく、多様な人々がそれぞれのアイデアを事業に反映させていく、ボトムアップの力を作っていかなければならないと考えています。

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