投資家が惨事に備えた保険を歴史的規模で買い 株安見込むヘッジ需要08年の世界金融危機に匹敵

拡大
縮小

戦争にインフレ、そして経済的な不確実性に覆われた世界を目の当たりにし、投資家は惨事に備えた保険を歴史的規模で買っている。

サンダイアル・キャピタル・リサーチがまとめたオプションズ・クリアリング(OCC)のデータによると、機関投資家は先週、株式のプットオプション(売る権利)の新規購入に81億ドル(約1兆1660億円)を費やした。これは少なくとも過去22年で最も大きい。時価総額で調整すると、株安に対するヘッジ需要は2008年の世界金融危機時に匹敵する。

ウォール街の不安が天にも届く勢いで増している

モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらが22年の弱気相場はまだ底入れしていないと警告する中、ウォール街の不安が天にも届く勢いで増していることを示す証拠がまた一つ増えた形だ。ミューチュアルファンドの現金保有は増え、ヘッジファンドは数年ぶりの低水準まで株式保有を減らした。こうした弱気姿勢は7日こそショートスクイーズ(踏み上げ)につながったが、プロ投資家の間で広がる極限の恐怖を物語る。

サンダイアルの調査担当最高責任者、ジェイソン・ゲプフェルト氏は「投資家は相場崩壊に対するプロテクションをこれまで市場が経験したことのないペースで買っている」と指摘。「有数のトレーダーらが突然、巨額のヘッジに動き出したことには不安を覚える」と話す。

次ページ強気のオプションに対する需要は低水準に
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT