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孤立出産した技能実習生が逮捕「日本の深い闇」 「妊娠を誰にも告げることができなかった」

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  • 安田 浩一 ノンフィクションライター

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技能実習生の置かれている過酷な環境について考えます(写真:プラナ/PIXTA)
2020年11月15日、ベトナム人技能実習生が誰にも打ち明けられず自室で双子の赤ちゃんを産み、翌日、死体遺棄容疑で逮捕された。この問題から浮かび上がってくるのは「妊娠を誰にも告げることができなかった」という実習生の置かれた過酷な環境だ。なぜ彼女は1人で抱え込んでしまったのか、そしてなぜ有罪判決か下されてしまったのか。『外国人差別の現場』を一部抜粋し再構成のうえお届けします。

追い込まれた末の「孤立出産」

2022年1月19日――福岡高裁はベトナム人技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リンさん(23)に対し、懲役3月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡した。問われたのは「死体遺棄罪」である。

リンさんは2018年8月に実習生として来日、熊本県内のミカン農家に就労した。出国費用として150万円の借金をしていた。これを返済し、さらにはベトナムでの暮らしを少しでも豊かなものにしたいと考え、農家では休みも満足にとることなく懸命に働いた。

自身の妊娠に気がついたのは、それから1年半後のことだった。おなかの子どもは来日してから交際したパートナーとの間にできたものだ。

リンさんは予期せぬ妊娠に悩み、苦しんだ。誰にも相談できなかった。妊娠したことが雇用主や監理団体に知られたら、強制的にベトナムへ送り返されると思ったからだ。たったひとりで、途方に暮れるしかなかった。

2020年11月15日、自室で双子の赤ちゃんを産んだ。死産だった。約8カ月の早産だったことが原因だと推察される。

その時の気持ちを、リンさんは裁判で次のように証言している。

「動揺して頭の中が真っ白になった。具体的に何をしていいのかわからなかった。ただ、元気になったらきちんと埋葬しようとは思っていた」

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【翌日病院へ行き…】

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