二酸化炭素(CO2)を地中深くに圧入・貯留する大規模な海上プラント群が、中国で初めて広東省の恵州大亜湾経済技術開発区に建設される。6月28日、中国の国有エネルギー大手の中国海洋石油集団と広東省政府が、イギリスのシェルおよびアメリカのエクソンモービルと共同事業の覚書に署名した。完成時のCO2貯留能力は年間最高1000万トンを見込む。
発電所や石油化学コンビナート、製鉄所などから排出されるCO2を回収し、再利用または貯留する技術をCCUS(訳注:Carbon Capture Usage Storage の頭文字)と呼ぶ。石炭、石油、天然ガスなどの生産・加工・販売を手がけるエネルギー産業にとって、CCUSは「CO2の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現する」という中国政府の国家目標をクリアするための切り札の1つだ。
恵州大亜湾経済技術開発区は中国の七大石油化学コンビナートの1つであり、40社を超える石油化学企業が進出している。冒頭の覚書にも署名した中国海洋石油とシェルは、総額396億元(約8029億円)を投じて年間生産能力150万トンのエチレンプラントの建設を進めている。
珠江河口周辺に1000億トン貯留可能
広東省の珠江河口の周辺海域は、CO2貯留のための地質条件が良好で、貯留可能な総量は1000億トンを超えると見込まれている。大亜湾を含むこの海域の各地に大規模なCCUSプラント群を建設することで、現地の産業界にCO2貯留の豊富なリソースを提供できる。
その先駆けとなる大亜湾のCCUSプロジェクトでは、経済技術開発区内の石油化学企業が生産工程で排出したCO2を回収して圧縮。それを地質条件が適した沖合の海上プラントにパイプラインで送り、地中に貯留する。
プロジェクトは2段階に分けて推進され、第1段階では年間300万~500万トンの貯留能力を持つプラントを建設する。第2段階では、これを年間500万~1000万トンに拡大する計画だ。
(財新記者:廬羽桐)
※原文の配信は6月29日
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