御殿場市は静岡県東部にある人口約8万7000人の街だ。西に富士山、東に箱根連山、北に丹沢山と山に囲まれ、南は裾野市に接する。標高が高く、年平均気温は13.2度と冷涼な気候だ。
この街の歴史は富士山抜きには語れない。1883年(明治16年)に御殿場口登山道が開かれ、富士登山の起点として知られるようになる。6年後の89年には東海道本線の御殿場駅も開業した。
景観がよく自然環境が豊かなため、外国人にも好まれた。91年に横浜在住の英国人植物商のバンディング氏が二の岡地区に別荘を構えて以降は、多くの西洋人がそれに続く。この別荘地はアメリカ村とも呼ばれた。ここに住んだ宣教師ボールデン氏が地域に伝授した食肉加工技術とその味を守るべく創業された二の岡ハム(二の岡フーヅ)は、名店として知られる。
明治後期から昭和初期にかけては、日本の政治家や文化人、芸能人などの別荘も続々と建てられた。西園寺公望、松岡洋右、井上準之助などの政治家、映画監督の黒澤明、女優の東山千栄子らの邸宅が並んだ。また、現在の秩父宮記念公園は、秩父宮家の別邸だった。
軍の街としての歴史もある。富士山の裾野が広がる西部は、帝国陸軍の演習に活用された。現在も板妻、駒門、滝ケ原の3カ所に陸上自衛隊の駐屯地が、東富士には広大な演習場がある。また、キャンプ富士には在日米海兵隊も駐留する。
御殿場と同じように別荘地として古くから発展した代表的な土地としては長野県の軽井沢町がある。だが、御殿場は軽井沢ほどの知名度やブランドを得られなかった。原因は交通の便の悪さだ。
この記事は有料会員限定です
残り 680文字
