東京外かく環状道路(東京外環道)のシールドトンネル工事が原因で、東京・調布市の住宅地の道路上で昨年10月18日、突然、陥没が発生した。その後、近隣の3カ所で地中に空洞が見つかった。壁に亀裂が入り、扉が閉まらなくなるなどの建物被害も相次いでいる。事故から8カ月経つ現在も問題は解決していない。
事業主体の1つである東日本高速道路(NEXCO東日本)は、トンネル工事や地質などの専門家からなる有識者委員会を急きょ編成。調査結果を今年3月に取りまとめるとともに、シールドトンネルの真上の住民に、地盤補修のため一時的に転居するよう求めた。
しかし、住民からは、「あまりにも一方的だ」といった反発が続出。被害住民を支援する弁護団も、「国土交通省やNEXCO東日本などの事業者は、事前調査の妥当性や事故原因などについて組織としてどのような検討を行い、どういう問題があったと考えているか。再三にわたって質問しているものの、誠意ある回答を得られていない」(郷原信郎弁護士)と批判する。
事前の調査不足が一因か
東京都内など国が定めた区域では、国の事業認可を得ることにより、地表面から40メートルよりも深い部分に当たる「大深度地下」の利用が地権者(地上部の土地の所有者)の同意なしにできる。不安に思う住民は少なくないものの、その反対を押し切り、一切の補償なしに住宅地の真下でトンネルを掘り進めることが可能になっている。
だが、それが許されるのは、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度法)や同法に基づく環境の保全に係る指針などを踏まえ、事前の適切な調査や地盤状況に即した工法の選択などが実施されていることが大前提となる。例えば、国交省策定の「大深度地下使用技術指針・同解説」では「ボーリング調査間隔は適切に設定する必要がある」と記述されている。そしてその目安として、100~200メートル程度の間隔を例示している。しかし、調布市の事故現場付近では、約1キロメートルにわたってトンネル直上部での事前のボーリング調査が実施されていなかった。
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