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「中国はデジタル税の議論を通じ発言権確保を」 「財新」特約 インタビュー前編/前中国人民銀行総裁 周小川

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中国人民銀行総裁を2018年まで3期15年にわたり務めた周小川氏は、中国を代表する開明派のテクノクラートの1人だ。現在も中国金融学会会長として発言を続けている(写真:アフロ)
新型コロナウイルスの大流行が、デジタル・エコノミーの成長を急加速させている。テレワークやEC(電子商取引)などの利用拡大を追い風に、「GAFA」と呼ばれるアメリカの巨大IT企業4社は2020年10~12月期決算で全社が過去最高益を更新した。
そんななか、世界の主要国で議論が活発になっているのが、インターネット上のデジタル・プラットフォームを対象とする「デジタル税」の創設だ。
デジタル・プラットフォームは国境を越えてサービスを展開し、データやアルゴリズムなどの無形資産から巨額の利益を生み出す。国を単位にした伝統的な法人税制では、ビジネスの全体像の捕捉が困難になっていることが背景にある。
今やアメリカとしのぎを削る「デジタル強国」となった中国も、同じ課題を共有している。中国の政策立案者たちは、デジタル・エコノミーの隆盛やデジタル税についてどのような見方をしているのか。
東洋経済の提携先である「財新」は、このほど中国人民銀行(中央銀行)前総裁の周小川(ジョウ・シャオチュアン)氏への独占インタビューを配信した。その邦訳を前編、後編に分けてお届けする(聞き手は財新記者:凌華薇、于海栄、程思煒)

 

――デジタル税は国境を越えた協調が必要とされる国際的テーマです。これについてどのような見方を持っていますか?

デジタル税は最近のホットトピックの1つです。当然ながら、中国はそれを研究し、自国としての意見や提案を示すことを通じて、国際的課題に対する発言権を確保すべきです。

(デジタル税の課税対象となる)デジタルサービスは実に多種多様です。それに対して「課税する」ことは容易にコンセンサスが得られますが、何より難しいのは、税収が「誰に帰属するか」についての合意を形成することです。

これまでは、徴税権は国家主権の一部であり、それぞれの主権国家は税体系を自ら定める権利があると考えられてきました。しかしグローバル化が進んだ今日では、仮にある国が自国だけに都合の良いデジタル税を制定すれば、国際的な摩擦や対立をたちまち引き起こしてしまいます。

摩擦を回避するためには、まず(中立的な)国際機関を軸にしてルール作りや協調を進める。そのうえで、各国が相互に牽制し合うことを通じて利害の均衡を図る方法が考えられます。

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