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『元号戦記 近代日本、改元の深層』 元号決定過程の秘密 「密室政治の極致」に迫る

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元号戦記 近代日本、改元の深層(野口武則 著/角川新書/900円+税/268ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] のぐち・たけのり 1976年埼玉県生まれ。毎日新聞政治部デスク。中央大学法学部卒業。2000年毎日新聞社に入社。小泉、野田、安倍政権で官邸の皇室問題を担当し、令和改元では7年半に及び元号取材に取り組んだ。改元の舞台裏を最も深く知る記者の一人。

元号が誰によって考案され、どのようにして決められるのかを知る人は多くない。「令和」の改元準備が約30年前の「平成」改元の頃からすでに始まっていたと聞けば驚くだろう。

本書の著者は、2011年から毎日新聞の政治部記者として7年半、元号取材に奔走した。最大の使命は、次の元号を他紙に先駆けてスクープすることだ。

とはいえ、元号取材は難しい。いつ元号が替わるかは想像がつかず、誰が考案し、どのような手続きで決めるかについての公式な情報もない。海図を持たずに、大海に放り出される状況に近い。

著者の主業務は政治家の番記者で、元号取材はサブ業務の位置づけだった。だが彼は、次第に元号取材にのめり込む。

元号考案者と思われる学者を訪ね歩く。手紙で面談を依頼しても返信がないことは珍しくない。音沙汰がなければ、失礼を承知で、直接自宅を訪ねる。ほとんど成果はないが、愚直に続ける。

また、漢籍の講座にまで通い、そこで知り合った漢籍や日本古典の研究者と年賀状のやりとりを続ける。著者の熱意に根負けして助言してくれる人も現れる。いくつかの助言から「考案者はこの人にちがいない」と仮説を立て、取材対象を絞り込む。

ほとんど手がかりがないところから糸口をみつけ、核心に迫る。本書にはその過程が詳細に描かれており、読み進めるうちに、当事者になったような臨場感を覚える。

仮説と検証を重ね、著者は新元号選定の黒衣(くろこ)の存在を突きとめる。表向きは国立公文書館の研究官だが、内閣官房の特命を受け、元号選定を一手に引き受ける官僚。彼は平成の次の元号案の実務に昭和の終わりから携わっていたという。結果論だが、約30年、いつ訪れるかわからない「その時」に備え続けていたわけだから恐れ入る。

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