[Profile] Yuval Noah Harari 1976年イスラエル・ハイファ生まれ。歴史学者、哲学者。英オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えつつ世界中の聴衆に向けて講義や講演を行う。
本書は、世界的ベストセラーとなった3部作『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21Lessons』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリが、本年3〜4月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが最初のピークを迎えていた中で発表した見解をまとめたものだ。
前半は米国の『タイム』誌、英国のフィナンシャル・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙への寄稿で構成され、後半はNHKのETV特集でのインタビューを基にしている。
ハラリは7月に書かれた序文の中で、国際協力の必要性、グローバルなリーダーシップの欠如、民衆扇動家や独裁者の危険性、監視テクノロジーの脅威を、3月時点よりも一層強く感じると訴えている。そしてこうした混乱の原因は、次のような2つの「誤った二者択一の問題設定」にあるのだという。
まず1つ目は、「プライバシーか健康か?」という問いだ。中国のような全体主義的な監視体制を打ち立てなくても、国民の知る権利を拡大することで、われわれは自らの健康を守れるはずなのである。
もう1つは、「グローバリズムかナショナリズムか?」という問いだ。脱グローバル化や自国ファーストを唱えて国家間の対立を煽(あお)るポピュリスト指導者に決定を委ねていたら、パンデミックや地球温暖化のようなグローバルな問題は解決できない。
ハラリは、人類が今直面している最大の危険は、ウイルスそのものではなく、われわれが内に抱えた憎悪と強欲と無知であると言う。しかし、憎悪と強欲と無知の代わりに、思いやりや気前のよさ、叡智(えいち)を生み出すような対応をするという選択肢も、まだ残されているはずだ。ハラリによると、その選択肢を取るために必要なのは「信頼」である。
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