[Profile] いわた・たかのり 愛知県在住。2018年4月、中国で話題の書となった『中国抗日ドラマ読本』を出版。現代中国における表象文化およびメディア研究、民間風俗、日本におけるサブカルチャー、移民文化などを得意分野とする。
今年も1年を振り返る時期がやってきた。多くの人にとって、新型コロナウイルスにまつわる出来事が記憶に刻まれた年だったことは疑う余地もない。しかし、「コロナ」はそれだけじゃないとばかりに登場したのが、本書『コロナマニア』だ。
もちろん「コロナ」に関する本ではあるが、ウイルスについての本ではない。本書には、「コロナ」を名前に含む国内外のお店や企業がズラリと並ぶ。事業の紹介やグーグルマップの画像、ウェブサイトのサムネイルなどが、まさに「3密状態」でラインナップされた一冊だ。
そもそも「コロナ」はラテン語の「冠」という言葉に由来し、高貴さや権力を示す冠、輝かしいエネルギーに満ちた太陽を想起させる言葉だったと言われる。それと関係があるのかはわからないが、こと国内に限ってみれば、コロナを店名に含んだ美容院や理容室は非常に多いという。
輝かしい未来を願って命名されたに違いなく、これほどの規模の風評被害を受ける日が来ようとは誰も予想しなかっただろう。加えて、自粛期間中はより苦しい状況だったのではないか。頼みの綱はインターネットでの集客だが、「コロナ」を検索すればウイルス関連の情報ばかりが表示される状況では難しい。自店・自社を検索するエゴサーチも機能せず、長年尽力してきたSEO対策すら意味をなさない状況に陥ったはずなのだ。
そんなダブルパンチに、彼らはどのように立ち向かおうとしたのか。リストの行間から想像しただけでも、思いがこみ上げて胸が熱くなる。
また本書は、表記の細かな違いや別名に対する目配りにも余念がない。なにかとコロナ関連の騒ぎが続いた愛知県にある安城コロナワールドは、Corona WorldではなくKorona Worldだし、アメリカのケーブル製造会社COVIDに関する記述もある。
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