今から1年余り前の2019年9月13日、「ミュンヘン国際音楽コンクール」のチェロ部門における佐藤晴真(さとうはるま)優勝のニュースは、音楽界を騒然とさせた。同コンクール・同部門での優勝は、日本人チェリストとして初の快挙だった。
1952年にスタートした「ミュンヘン国際音楽コンクール」は長い伝統と権威を誇る難関コンクールだ。有名どころでは、アントニオ・メネセスやソル・ガベッタなど、そうそうたる名チェリストを輩出してきた。
4〜5年に1回行われるチェロ部門で過去に入賞した日本人は、堤剛(63年第2位)と横坂源(10年第2位)の2人のみ。この難関を制した佐藤が、待望のデビューアルバムを発表するとなれば、当然気になる。しかも、クラシック界最古にして最高の名門レーベル、ドイツ・グラモフォンの新譜としての発売だ。収録曲には、ブラームスの歌曲(チェロ編曲)と2曲のチェロソナタが選ばれた。今回、アルバム収録直後の佐藤に話を聞いた。
22歳、音楽への思い
「デビュー作にブラームス作品を選んだのは、低い音、そしてチェロらしい音を使った音楽を書いてくれたブラームスが昔から好きだったからです。さらには、現在ベルリンで勉強しているので、最初にドイツの作曲家の作品を録音するのが自然だと思いました。バッハの『無伴奏チェロ組曲』という考えもあったのですが、まだ今じゃないな、との思いでブラームスにしました」と佐藤は言う。その語り口は、22歳の若者とは思えない落ち着きぶりだ。
この記事は会員限定です
残り 502文字
