──菅首相との交流が始まったのはいつからですか。
2013年に産業競争力会議の民間議員になり、私は農業改革担当の主査として、コメの生産調整廃止や農地中間管理機構の創設などに取り組んだ。そのときから菅さんと直接政策の話をするようになった。TPP(環太平洋経済連携協定)参加の議論でも、菅さんは「ぜひやりましょう」と強い意志を持たれていた。ほかの規制改革でも実行の要はすべて菅さん。官僚を動かす力がすごい。
──印象に残る菅首相の言葉は?
14年から経済財政諮問会議の民間議員になったが、財界出身の議員枠は2人だけ。「私なんかでいいのか」と話すと、菅さんから「消費の立場からどんどん言ってくれ」と言われた。
財政や社会保障の改革もそうとうやった。例えば医療では、原則2年に1度だった薬価改定を毎年行うように変えたり、一部の超高額薬の価格を引き下げたりと大きな進展があった。
このときも菅さんは徹底的に支持してくれた。菅さんはいったんやろうと決めれば、細かいことも全部理解して徹底的にやる。夜中の12時すぎまで議論したこともある。いろんなところから抵抗があったが、菅さんの強いリーダーシップがあったからできた。
最低賃金改定での共闘
──最近では、最低賃金引き上げについて政府方針の3%を上回る5%を主張されていますね。菅首相もこれを強く支持しています。
国としては、賃上げの点では最低賃金にしか口を出すところがない。私はローソンの社長時代に率先して賃上げを行ったが、それは「デフレ脱却に向けて、民間は生産性が上がってから賃金を上げるのでは遅い。民間も協力すべきだ」と考えたからだ。
一方でデフレ脱却の流れが継続性を持つためには、最低賃金引き上げによって中小企業によい人材が集まり、IT活用などで生産性を高めることが必要だ。国はこうした仕組みづくりとのパッケージによって、最低賃金5%引き上げを進めるべきだと考えている。
──そうした考えに菅首相も賛同するわけですが、新型コロナウイルスの流行が起きてしまいました。
コロナ禍によって今年度の最低賃金改定はトーンダウンした(編集部注:中央最低賃金審議会は「現行水準の維持が適当」と答申)。これから一段と重要になるのは、中小企業の足腰をどう鍛えるかだ。そのためには人材の確保と、重層化した下請け構造によるデメリットの改善が課題になる。
中小企業の廃業が増えるとの予想もあるが、潜在力のある企業まで廃業するのはよくない。東京一極集中の見直し機運もある中、菅政権には、優秀な人材を持つ銀行や大企業から中堅中小企業へ、日本を支える人たちがシフトすることの支援に注力してもらいたい。
──政策的な課題は多いですね。
格差問題、教育や医療・介護の改革、さらに環境対策投資をどう雇用に結び付けていくかなど課題は山積する。ただ、菅さんはアントレプレナー(起業家)が大好きだ。大企業に在籍しなくても地方でどんどん新しいことをやるベンチャーの人たちを元気にする政策を進めるだろう。
(聞き手 野村明弘)






















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