藤井聡太二冠の活躍によって、将棋のAI(人工知能)が注目を集めている。実力的にはすでに名人を超えたといわれるAIだが、最善手の予測や対戦状況の優劣判断など、将棋観戦を面白くするのにも一役買っている。そんな折、「伝説的ピアニスト、グレン・グールドの音楽表現を学んだAIがピアノ演奏を披露」というリリースが届いた。これはぜひ体験しなければと会場の日本科学未来館へ足を運んだ。
ヤマハが開発したシステムは、グールドが残した100時間以上に及ぶ音源から学習したAIと自動演奏機能付きピアノで構成される。このシステムでは、あらゆる楽曲にグールドらしい音楽表現を適用できるという。すでに、彼のバッハ『ゴルトベルク変奏曲』を、自動演奏で忠実に再現した実績を持つヤマハだけに、今回の“グールド未演奏曲”にも大きな期待がかかった。
イベントで披露された未演奏プログラムは、スクリャービン『5つの前奏曲』Op.(オーパス)74-1/同『2つの前奏曲』Op.67-2/J・C・F・フィッシャー『音楽のパルナッソス山』組曲第5番「エラト」より1と2/モーツァルト『小さなジーグト長調』K.(ケッヘル)574。これを見てピンとくるとしたら相当な音楽通だ。多くの方にとって、このプログラムは単なる文字の羅列にすぎないだろう。そしてこれらを実際に聴いた筆者の感想も、つかみどころのないもやっとした演奏というものだった。
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