コロナ後の世界はグローバル化の度合いが大幅に低下することになるのではないか。1930年代の関税戦争や通貨安競争以来、開かれた経済に対する反動がこれほど強まったことはない。結果として経済成長は鈍り、各国の国民所得も著しく下落しよう。
2001年刊行の予言的な著作『グローバリゼーションの終焉』で米プリンストン大学の経済史家、ハロルド・ジェイムズ氏は、1930年代の大恐慌がいかにしてグローバル化を崩壊に至らしめたかを描いた。ひるがえって現在。脱グローバル化の動きはコロナ危機で再び加速しつつあるかに見える。
内向き志向に火をつけたのは米中を貿易戦争に導いたトランプ米大統領だが、コロナ禍が世界の貿易に与える痛手はこれよりも深く、長期にわたる可能性が高い。1930年代と同様の事態になる危険性は膨れ上がっている。混乱と危機の中でグローバル化が後退して、それで深刻な問題が起こらないと考えるほうがどうかしている。
米国は世界最先端のテクノロジーを誇り、天然資源にも恵まれている。だがそのような米国であっても、貿易が機能停止状態に陥れば実質国内総生産(GDP)は大幅に低下しかねない。小国や新興国の経済発展は何十年と逆戻りさせられることになるだろう。
確かに先進国ではグローバル化のせいで格差が拡大した。14年のベストセラー『21世紀の資本』でトマ・ピケティ氏は、これを資本主義の失敗と呼んだ。だが世界の人口の86%が暮らす先進国以外では、資本主義のおかげで何十億という人々が極貧状態から抜け出すことができた。つまり、脱グローバル化が強くなりすぎれば、恩恵どころか、圧倒的大多数の人々に害が及ぶのは間違いない。
米国も一部の政治家(右派と左派の別は関係ない)が考えている以上に多くのものを失うことになる。米国の覇権が最たる例だ。世界貿易システムは米国を覇権国家とする世界的な協定の一部を成しており、中国を含む大多数の国は、こうした世界秩序を機能させることでメリットを受け取っている。
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