「大学病院も新型コロナウイルスの感染拡大の影響に直面している。今では、対応している医師の3分の1ほどを、大学院生である無給医が占めている」
都内の大学病院で働く30代の無給医の男性、A医師はそう実情を話す。当初は呼吸器内科や救急科などの専門科が新型コロナの診療に対応していた。だが患者数の増加に伴い業務が膨大になり、専門外の若手・中堅医師全体で病棟業務を回すようになったという。
無給医とは、大学病院の中堅医師のうち、実習や研究などの名目で診療に当たっているため、受け取るべき給与の全額または大半が支払われていない大学院生のことだ。文部科学省は今年2月、2018年2月時点で全国59の大学病院に2819人の無給医がいたとの調査結果を発表している。ただ、これは大学病院側からの回答に基づくもので、「氷山のほんの一角」(A医師)とみられている。
実態としては、労働として診療し、病院は保険者に診療報酬を請求している。にもかかわらず、雇用契約を結んでおらず、労災保険にも未加入であるなど、その労働環境には問題が山積している。
待遇改善がいまだ道半ばの中で、コロナ医療の最前線に立たされている無給医たちからは、不安の声が相次いで上がっている。
「目先の不安は、大学から紹介されるアルバイトの多くが中止されていること」と、A医師は言う。フルタイムで勤務しているにもかかわらず大学病院からは給与がほとんど支払われない無給医たちの生計を支えているのが、関連病院での週2、3コマのアルバイトだ。これができなくなると収入が途絶えることになる。
この記事は会員限定です
残り 706文字

