テレワーク(在宅勤務)が、「Withコロナ」時代の働き方のスタンダードになろうとしている。欠かせない要素の1つとして改めて脚光を浴びたのが、クラウドサービスだ。会社に出勤せずとも、インターネット環境さえあればどこでも使える。
「SaaS(サース=Software as a Service)」とも呼ばれ、ビデオ会議やオフィスソフトから顧客管理、人事労務、会計まで、ビジネスのあらゆる領域でさまざまなサービスが台頭した。これまでは米国のIT企業が幅を利かせてきたが、この数年、ベンチャー企業を中心に国産勢の台頭が目立つ。
一気に注目度が上がったのは、電子契約サービスである。コロナ禍でテレワークを阻む筆頭格とされたのが、ハンコだ。契約書の押印のためだけに出社を迫られるという人が続出し、電子契約が急速に普及しつつある。クラウド型電子契約サービスでシェアトップを走る弁護士ドットコムの「クラウドサイン」は4月末に導入社数が8万社を突破。この4月は1カ月で約6500社増えた。
政府の緊急事態宣言が解除され、オフィスへの出社だけでなく、取引先の訪問も許可し始める企業が出てきた。普段はあまり気に留めないが、商談などでの接触点となるのが名刺交換だ。
ここに目をつけたのが、名刺管理のSaaSを展開するSansan。同社は6月中に「オンライン名刺交換」と呼ばれる新機能の提供を始める。あらかじめアップロードした名刺画像を交換するというもので、「打ち合わせの予定が決まった時点で名刺交換を済ませておくといった習慣が生まれるだろう」(Sansanの大津裕史・最高製品責任者)。
契約書や名刺など、これまで紙でやり取りしていたものがデジタル化されれば、テレワークや接触抑制だけでなく、業務の効率化も進む。本来の目的はむしろそれだ。業務プロセスの中にSaaSを入れていくことで、ペーパーレスで場所を選ばない働き方が実現する。
これまでSaaSはIT業界やベンチャー企業で使われることが多かった。だがSaaS比較サービス「ボクシル」を運営するスマートキャンプの阿部慎平・最高執行責任者は、「IT以外の業界からの資料請求が増えた。歴史の長い中小企業から、金融や不動産などの大企業まで、必要に迫られているようだ」と語る。
業界全体のIT化が必要
一方でいくつもSaaSを導入しただけでは、個々の業務はデジタル化されても、それらの間をつなぐものがない。企業間の契約から請求までの業務では、個々の業務にSaaSがあっても、その間で人間が動き、紙が動き、時にはハンコも介在する。
例えばブロックチェーン関連事業を手がけてきたベンチャー「LayerX(レイヤーエックス)」は先述の弁護士ドットコムのほか、ネット銀行のGMOあおぞらネット銀行、クラウド会計のマネーフォワードと5月に相次いで提携。同社はSaaS同士をつなぐことで、業務フロー全体のデジタル化を目指すという。
あらゆる領域にSaaSが生まれ、コロナ禍を経て企業の「デジタルトランスフォーメーション」が加速しそうだ。






















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