コロナ禍は、小売り業の経営戦略も変えそうだ。
政府による不要不急の外出の自粛要請を受け、消費者の購買行動に変化が起きた。テレワークを促進する企業が増え、全国の小中高校などが休校したことで、「巣ごもり」消費が発生。スーツなどの衣料品や化粧品の販売が減少する一方で、自宅で仕事する環境を整えるためにデスクやいすなどの家具、パソコンが売れた。料理を楽しむために、高級炊飯器やホームベーカリーといった家電も販売を伸ばした。
こういった「自宅快適化」需要は当面続く見通しだ。博報堂買物研究所の山本泰士所長は「コロナ後もテレワークを選ぶ人が出てきそう。となると、身の回りを心地よくする家具などの需要はなくならない」とみる。家具や家電チェーンだけでなく、百貨店やGMS(総合スーパー)も品ぞろえを再検証することになりそうだ。
人の流れが変わることで、店舗の立地戦略も見直される可能性がある。コンビニエンスストア業界ではこれまで、人の集積するオフィス街が好立地とされてきた。だが、コロナ禍で往来する人が減った結果、都心部店舗の売り上げが急減した。テレワーク定着を想定した場合、コンビニは今後、住宅街など地域に根差した店舗戦略に軸足を置くかもしれない。
外食業界も同様に、展開エリアを幅広く吟味することになりそうだ。コロナ後に飲食店の「地元・近所」需要が膨らむことを指摘する業界関係者は少なくない。「オフィス街だけではなく、自宅近くで料理や酒を楽しめるいい店を探す動きが加速するのではないか」(山本所長)。新たな需要に対応するため、飲食店は住宅街や郊外での運営を強化する必要がある。
顧客の目はシビアに
品ぞろえや立地だけでなく、デジタル技術を活用した戦略についても、新境地が開かれるだろう。
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