各国で感染がピークアウトし、徐々にコロナ後の生活が始まっている。しかし感染拡大の第2波、第3波が懸念され、長期戦は必至。そんな中、注目が集まるのがワクチン開発だ。実用化時期やその有効性によって、コロナ後の世界は大きく変わりうる。
現在、世界の製薬企業や研究機関が新型コロナウイルスのワクチン開発レースを行っている。WHO(世界保健機関)によれば、5月27日時点で、世界ではヒトを対象に10の臨床試験(治験)が行われている。動物実験など前臨床の段階を含めれば、その数は115に上る。
世界のワクチン開発で先頭を走るのが米国のバイオベンチャー、モデルナだ。同社は3月に開始したフェーズ1臨床試験の中間結果の概要を、5月18日に発表した。被験者8人に、ウイルスの感染を抑制する効果がある中和抗体を確認したという。
日本でも大阪大学発のバイオベンチャーであるアンジェスが、開発に着手している。5月25日には、マウス・ラット対象の動物試験で抗体の産生が確認できたと発表した。
モデルナは、7月に大規模なフェーズ3の治験を始める見込みだ。アンジェスも、同じく7月にはヒトでの治験を始める予定。仮に開発がこのペースで順調に進めば、最短で2021年内の実用化もありうる。
従来のワクチン開発であれば、順調に進んでも実用化まで5年以上かかるのが一般的だった。だが技術革新によるワクチン開発手法の大きな変化によって、世界中で異例のスピードでワクチン開発が進んでいる。
ゲノム情報だけで製造
ワクチン開発は、殺されたウイルスを体内に注射する「不活化ワクチン」の技術か、弱毒化されたウイルスを用いる「生ワクチン」の技術が使われる。どちらも、実際のウイルスに人為的な操作を加えてから体内に送り込む。ウイルス表面にある「抗原」と呼ばれるタンパク質を捕捉する「抗体」を作り出すことによって、ウイルスが増殖するのを抑えるものだ。
この記事は有料会員限定です
残り 586文字
