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ライフ #人が集まる街 逃げる街

幅広い魅力を持つ坂の街 尾道市 [広島県]

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  • 牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

尾道は、その名を誰もが一度は耳にしたことがあるほど観光地として有名な、広島県東南部の街だ。尾道と聞けば、林芙美子の『放浪記』の一節、「赤い千光寺の塔が見える、山は爽(さわ)やかな若葉だ。緑色の海向うにドックの赤い船が、帆柱を空に突きさしている。私は涙があふれていた」、あるいは志賀直哉の長編小説『暗夜行路』での「六時になると上の千光寺で刻(とき)の鐘をつく。ごーんとなると直ぐゴーンと反響が一つ、又一つ、又一つ、それが遠くから帰ってくる。その頃から昼間は向い島の山と山の間に一寸頭を見せている百貫(ひゃっかん)島の燈台が光り出す。それはピカリと光って又消える。造船所の銅を熔(と)かしたような火が水に映り出す」などという描写があり、「文学の街」として思いをはせる人がいるだろう。

また、小津安二郎監督の映画『東京物語』で、周吉と紀子が浄土寺から尾道水道を眺めながら語らう姿を思う人。先日82歳で亡くなった大林宣彦監督が手掛けた尾道三部作(『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』)を見て監督の街への深い愛情に涙する人。そんな、「映画の街」として憧れる人もいるかもしれない。

最近では多くのアニメの舞台となったことから「アニメの街」、北川景子さん出演のCMにも登場した猫の細道から「猫の街」とも。もともとは坂が多く「坂の街」が代名詞であったこの街には、今や、数多くの愛称が付けられているのだ。

しまなみ海道の起点

さらにこの街を有名にしたのが1999年に開通した瀬戸内しまなみ海道だ。西瀬戸自動車道の西瀬戸尾道インターチェンジを起点に、向島(むかいしま)、因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、大三島(おおみしま)、伯方島(はかたじま)、大島を7つの橋で結び、愛媛県今治市に通じる。この道には自転車用の道路が確保されていて、近年のサイクリングブームに乗って大勢の観光客が訪れるようになった。

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