長い間、その危険性が放置されてきたベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤について、厚生労働省が検討を始めたのは、17年に「高齢者医薬品適正使用検討会」を設置してからだ。日本老年医学会が危険な薬剤を公表してから12年も経っている。
検討会の議論を経て、18年に公表されたのが「高齢者の医薬品適正使用の指針」(総論編)だ。「薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤」の一覧表でBZ系薬剤について「可能な限り使用を控える」とまとめた。だが、重要な安全性情報は、添付文書にこそ記載すべきではないだろうか。薬剤ごとの有効性や安全性情報を網羅していて、医師にとっては基本資料だ。
どのBZ系薬剤の添付文書を見ても「認知機能の低下」や「過鎮静」の文字はない。注意を促す改訂はできないものか。厚労省医薬安全対策課に尋ねてみたが、「より質の高いエビデンス(根拠)がなければ、添付文書には書けない」とする。だが日本老年医学会がBZ系薬剤の危険性に警鐘を鳴らした「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」では、危険性を訴える根拠となる論文や海外の基準が示され、エビデンスが重視されている。エビデンス不足を理由に添付文書改訂に消極的なのは、危機感の欠如に映る。
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