ソフトバンクグループ(SBG)の通信子会社ソフトバンクが2018年12月、東京証券取引所に上場した。SBGの中間持ち株会社・ソフトバンクグループジャパンは、上場時にソフトバンク株の一部を売却し2兆円の特別利益を計上した。
一方でSBGには巨額の繰越欠損金があった。このため、本来払うべき法人税7508億円のうち半分近くの3452億円を払わずに済んだ。

ソフトバンク株売却を資本取引と見なして利益計上していないにもかかわらず、SBGの19年3月期の営業利益は過去最高の2.3兆円。投資事業が好調だったからで、それ以前も約1兆円の営業利益を計上し続けてきた。巨額黒字会社が巨額の繰越欠損金を抱えているとは意外だが、事実である。
からくりは下図のとおりだ。
まず、SBGは英アームHDを16年に3.3兆円で買収した(下図①)。次に、スマートフォン向け半導体で圧倒的な世界シェアを誇る事業会社・英アームLtd.株の75%を18年に現物配当として受け取った(下図②)。
100%子会社からの配当は95%が益金不算入、すなわち非課税だ。アームLtd.株による配当のほぼすべてで税金を払わずに済んだのだ。
最後にSBGはアームHD株を傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドに売却した(下図③)。会社側は金額を明らかにしていないが、アームHDは主な資産であるアームLtd.株の75%を配当した直後なので、企業価値も75%下がり、売却額は約0.8兆円になっていたとみられる。
この約0.8兆円を買収額の3.3兆円から引いた約2.5兆円を税法上の損金とし、翌19年3月期に繰り越した。

なぜこのような複雑なことをしたのか。単にソフトバンク株を売り出したのでは3割強が法人税として持っていかれる。そこでソフトバンク株の巨額売却を見越して、アームHD株売却で巨額の繰越欠損金を創出しておいたのではないか。SBGは「仮定に基づく質問だ」とし、何も語ろうとしない。
この記事は有料会員限定です
残り 719文字
