バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、就職難に苦しんできた就職氷河期世代。彼らをめぐる状況が激変し始めている。
昨年夏、氷河期世代のひきこもりに関連する殺人事件が立て続けに起き、80代の老親が50代の子どもの生活を支える「8050問題」の主役が、氷河期世代に移りつつあることを認識させた。
他方、ますます進む人手不足により、今まで敬遠されてきた氷河期世代の正社員採用がいよいよ中小企業を中心に広がってきた。まさにこのタイミングで集中的な氷河期世代への就労支援、ひきこもり支援を開始するのが安倍政権だ。3年間で650億円の予算を確保し、今年4月に支援プログラムを始動。氷河期世代の抱える問題を軽減、解消しようという機運は今まで以上に高まっている。
本特集では、中高年になった氷河期世代の今を伝えるとともに、当事者や親、企業の人事担当者に向けて、就労支援やひきこもり支援の現状と課題、成功へのノウハウを紹介する。本論に入る前に、データで氷河期世代の現状をさらっておこう。意外なほど、間違ったイメージもはびこっている。
この10年間で氷河期世代の雇用形態がどう変化したかを見たのが図表1だ。2012年以降の景気拡大により、男性の非正規雇用から正社員へのシフトは着実に進んだ。女性の非正規雇用増は、パートで働く専業主婦が増えたためと考えられる。氷河期世代の非正規比率は前後の世代と大差ない。

若年者の就業状況を長年研究してきた労働政策研究・研修機構の堀有喜衣・主任研究員は、「団塊ジュニアを含む氷河期世代は、非正規雇用者数のボリュームが大きいこと、正社員といっても賃金などの条件がほかの世代より悪いことが課題として残る」と指摘する。
氷河期の真の課題
正社員の賃金水準を見たのが図表2だ。氷河期世代の年収は、10年前、バブル世代が同じ年齢だったときと比べ、40~80万円少ない。就職難だった氷河期世代は、相対的に賃金の低い中小企業への正社員就職が多かったためだ。
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