間もなく訪れるクリスマスシーズンは、クラシック音楽が最も光り輝く季節の1つだ。あの手この手の楽しい工夫を凝らしたクリスマスコンサートは、クラシック初心者でも楽しめること間違いなし。ぜひ気楽にコンサート会場へ足を運んでほしい。そして、「さらに本格的なクリスマス気分を味わいたい」という方にお薦めなのが、この時期世界中で演奏される“クリスマスの定番曲”、ヘンデル(1685〜1759)のオラトリオ『メサイア』だ。
同年生まれのヨハン・セバスチャン・バッハと違い、波瀾万丈の生涯を送ったヘンデルは、国際的作曲家の先駆けとして活躍した。後年は英国に帰化し、王室の保護の下、オペラの作曲に専念する。
しかしどこの世界にもねたみややっかみは存在するもの。反対派の妨害によってオペラプロジェクトはあえなく失敗。経済的にも精神的にもどん底に落ち込んだヘンデルは、新たに「オラトリオ」に目を向けて復活への道筋をたどり始める。これが53歳のときだというから畏れ入る。ちなみにオラトリオとは、宗教的な題材の歌詞を持つ、舞台装置を伴わない合唱と管弦楽のための作品だ。
失意のどん底にあったヘンデルに手を差し伸べたのは、当時アイルランド総督を務めていたデボンシャー公と、ダブリンの慈善音楽団体「フィルハーモニー協会」。彼らに招かれたヘンデルが用意した新作こそが、イエス・キリストの生涯を描いたこの『メサイア』だ。ヘンデルは演奏時間3時間にも及ぶこの大作にすべてを忘れて没頭し、時には感動のあまり涙を流しながら、なんと約3週間で書き上げたという。そしてこの新作は1742年4月13日にダブリンで初演されて大成功を収める。
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