1日の睡眠時間が7.5時間だとすると、われわれは人生の約3割を寝て過ごす計算になる。以前この連載でも紹介したドイツの現代作曲家、マックス・リヒターのアルバム『Sleep』が驚異的なストリーミング数を記録するなど、「眠り」は現代人にとって重要な関心事の1つだ。
この「眠り」を科学的に解明する研究を行っている米スタンフォード大学医学部精神科の西野精治教授が監修したアルバム『Night&Day〜最高の睡眠と目覚めのためのClassic〜』が発売された。『スタンフォード式 最高の睡眠』の著者で、快適な睡眠を提供する寝具「エアウィーヴ」の開発にも携わる西野教授は、なぜこのアルバムを作ったのだろうか。
きっかけは、サンフランシスコで日常的に聴いていたラジオ局・KDFCが流していたクラシック音楽の心地よさだという。放送局は朝や昼には元気になる音楽を、夕方にはリラックスできる音楽を選曲しているのではないかと思った教授は、クラシック音楽の「眠り」への影響を検証したいと考え、早速行動に移す。興味深いのは、“「眠り」と「覚醒」は表裏一体”ということで、「眠り」と「覚醒」の両方に関するレーティング調査を行った点だ。
方法は、クラシックの名曲30曲を、20代から60代までの男女164人のモニターに午前中と夕方の2回聴いてもらい、アップ系やダウン系の形容詞14項目がどれぐらい当てはまるか、10段階評価で採点するもの。さらに、ランダムに聴いた際に曲から受ける印象と形容詞との整合性の評価や、曲の好き嫌いの評価の調査も行った。これらの集計結果を並べると、人々が思い描くそれぞれの曲の個性や性質が見事に表されたという。
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