大阪大学

社会に革新をもたらす「超域人材」を育てる
トップアスリートから学ぶリーダーシップ 優れた若手人材を次代のリーダーに導く
5年一貫の博士課程プログラム

拡大
縮小

プログラム設計から指導までを担う平井啓准教授は、狙いをこう明かす。3泊4日の合宿形式のトレーニングに参加した院生は、早朝のランニングに始まり、テコンドーやフットサル、リレーといった競技に挑み、心身ともに「超えられない」と思うところまで追い込まれる。

「その中で自らの身体能力や体力の限界、弱さを自覚する一方で、自分自身の踏ん張りや仲間の励ましによって『もうできない』と思ったことができる、『超える瞬間』を体感します」と、リレーを指導する江里口 匡史氏(陸上短距離・ロンドン五輪代表)は語る。

またどのメニューもチーム制で競技を行い、院生が自分たちで考え、戦略を練り、目標達成を目指すよう設計されている点も特長的だ。「身体能力も体力も十人十色。そのうえ、筋肉痛で思うように動けないなど数々の制約の中で、どうすればチームのメンバー一人ひとりを生かすことができるかを真剣に考え、行動するようになった」と、奥野輔さん(基礎工学研究科)は自らの変化を認める。山並千佳さん(国際公共政策研究科)は、「身体能力ではかなわなくても、自分のできることを見いだし、その役割を精一杯果たすことでチームに貢献できると実感した」と言う。

鮮烈で濃密な体験によって、院生は短い間に時間管理や目標設定、コンディショニング、コミュニケーションといった「ライフスキル」能力を向上させるとともに、課題や困難に直面した時、自らの限界を超え、あるいはリーダーとなって組織を率いることでそれを克服する力を磨いていく。

「身体能力が高いだけのトップアスリートはいない」

指導にあたる講師には、岡本依子特任講師(テコンドー・シドニー五輪銅メダリスト)をはじめ、朝原宣治氏(陸上短距離・北京五輪銅メダリスト)、高山勝成氏(ボクシング・第10代WBC世界ミニマム級王者)、高山氏を育てたトレーナーの中出博啓氏など、世界トップレベルのアスリートらが名を連ねる。

講師の中には、朝原宣治氏ら五輪メダリストもいる。世界のトップと戦ったアスリートの実体験を聞き、さまざまな課題をこなす中で、院生の表情もたくましくなる
次ページリーダーシップは活動を通じて『体得』
詳細な情報とお問い合わせ
大阪大学未来戦略機構第一部門
超域イノベーション博士課程プログラム
 http://www.cbi.osaka-u.ac.jp/