日本で有力なベンチャーを育成するには、支援するVCの力が欠かせない。国内外の機関投資家の資産運用を担う立場から見た、日本のVCの課題とは。
(注)8月24日号38ページ記事に加筆しています。
これまでは日本のVCに投資する理由はほとんどなかった。世界では米国のVCが圧倒的な力を持っているし、アジアの中でも中国やインドのVCに投資するほうが、リターンの観点で妙味があった。日本でも高い評価を受けるベンチャー企業は増えてきているが、圧倒的に少ない。「Why Japan? Why VC?」という機関投資家からの質問に答えることができない。
機関投資家が求めるものは、まずトラックレコード(過去の実績)だ。その点、同じプライベートエクイティー(PE、未公開株式)への投資でもバイアウト(既存企業を買収し、部門や資産を売却するなどして買収先企業の価値を高めること)のほうが実績を残している。PE投資のリターンは2.5倍出ればいい方だが、VCはVCによるベンチャーへの投資案件がエグジットできないまま膠着する可能性があることを考えると、3倍ぐらいのリターンは欲しい。
安定したトラックレコードを残すためには、経営陣の顔ぶれがすぐに変わらないといった組織の安定性が必要だが、日本のVCにはそれを備えているところが少ない。機関投資家への情報開示も含め、これまで厳しいプレッシャーを受けてこなかったことが背景にあるのではないか。正直なところ、日本のVCは起業家の支援にばかり目を向いているところが多い。
この記事は有料会員限定です
残り 495文字
