日本を訪れる外国人が急増している。東日本大震災直後の2012年には、訪日観光客数は800万人強だった。しかし、5年後の17年には3.5倍の2800万人となり、翌18年には3100万人と、3000万人の大台を突破した。
少子高齢化で個人消費が低迷する日本では、外国人による活発な消費は恵みの雨だ。「インバウンド消費」という言葉が人口に膾炙(かいしゃ)するほど、外国人による消費が日本各地の経済を潤している。
ただし聞こえてくるのは、喜ばしい話だけではない。メディアには「観光公害」というツーリズム関連の新語がしばしば登場する。観光客の大幅な流入で、観光地の住環境が脅かされているという。道路の渋滞、ゴミの増加、住宅地価格の高騰などだ。
観光地の住民の思いは感情的には理解できる。しかし、せっかく来日してくれている外国人に対し、「観光公害」などという失礼なネーミングを流布させる前にわれわれがすべきことは多い。観光客の増加でプラスの経済効果を得ている地方自治体は、十分な努力をしているのであろうか。
日本を代表する観光地である京都の例を見てみよう。京都では訪日客でバスが混雑し、地元住民の生活に影響が出ている。
京都市の「京都観光総合調査」によると、京都市の年間宿泊客数は、12年は1221万人だったが、5年後の17年には28%増の1557万人となった。また同時期の外国人宿泊客数は85万人から4.2倍の353万人となっている。
一方、同時期の公共バス台数は、788台から818台へと4%しか増えていない。営業路線キロも3%増にとどまっており、年率換算すると年1%以下の増加にすぎない。バスが混雑するのは当たり前である。
不十分なインフラ投資
インフラの過少投資は、京都に限ったことではない。例えば、空の玄関である羽田空港でも、タクシー乗り場は貧弱だ。国際線ターミナルのタクシー乗り場は、大きな荷物を持った乗客が行き違えないほど狭い状態のままである。
観光地の住民は、「観光公害」という言葉に惑わされず、自らが居住している地域の自治体が、必要十分なインフラ投資を行っているかを見つめ直すべきだ。
今や消費者の口コミは、強力な広告宣伝ツールだ。自らの努力不足を棚に上げて外国人観光客をバッシングする自治体は、早晩、外国人から忌避されるであろう。
そのとき初めて、自治体や地域住民は観光客から得ていたメリットの多さに気づくはずだ。気づいたときには観光客は戻らない。ただ寂寥としたコミュニティーだけが残されるのだ。
(みかん)



















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