
スマートフォンなどで5Gを利用するには、高周波に対応した通信用半導体チップが欠かせない。その開発競争で頭一つ抜けているのが米クアルコムだ。
「5G Only on Android(5Gはアンドロイドだけ)」。2月にスペイン・バルセロナで行われた世界最大の携帯電話見本市、MWCのブースで、クアルコムのスタッフはこのように書かれたTシャツを着て説明に当たった。特許使用料をめぐり訴訟合戦に発展していた米アップルに5G向けチップを供給しないという宣言だった。
インテルが開発を断念、当てが外れたアップル
クアルコムは3Gや4Gといった前の世代の通信規格でも最前線を走ってきた。通信用半導体は電波の干渉防止や大量のデータ送受信が求められ、開発が容易ではない。ただ同社は毎年売上高比で20%を超える巨額の研究開発費を投じ、圧倒的なポジションを確立した。現在主流の4Gスマホでは、半数以上に同社製のチップが使われているとみられる。通信関連の特許も多数取得し、半導体の販売だけでなくライセンス料の収入でも高成長を遂げている。
それに対して反旗を翻したのがアップルだった。17年1月、特許使用料が過大だとしてクアルコムを提訴。18年発売のiPhoneからは、米インテルからチップの提供を受けるようになり、両社は『全面戦争』に突入していた。
対立が終焉を迎える決め手になったのが5Gの到来だ。パソコン向けCPU(中央演算処理装置)では世界のトップを行くインテルでも、5G向けチップ開発では技術的な壁を容易に乗り越えることができなかった。これで一転、アップルは窮地に立たされた。5G向けチップの開発については中国ファーウェイ傘下のハイシリコンも進めており、幹部がアップルへの供給に前向きな姿勢も示した。だが、米中関係を考えると実現性には乏しかった。
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