大手鉄道会社間の格差がじわじわと広がっている。図1「輸送人キロ」(乗客数に各人の利用距離を乗じたもの)で比較してみよう。大手私鉄16社とJR東日本の関東圏在来線、JR西日本の近畿圏在来線について2009年度の輸送人キロを100とした場合の17年度までの状況だ。

最も伸びたのは東京メトロ。堅調な景気を背景にビジネス利用が増えており、インバウンドなどの観光利用者が上乗せされた。
2位は阪神電鉄。09年の阪神なんば線開業で沿線の利便性が向上し、利用者が増えた。3位京成、4位名鉄はどちらも空港アクセス鉄道が絶好調だ。
一方で、17位の西鉄、18位の近鉄は09年度よりも利用状況が悪化した。西鉄は福岡が地盤。近鉄は路線距離が私鉄最大で、2府3県にまたがる。東京、大阪という大都市を外れると、大手鉄道会社といえども安泰ではない。
日本全体は08年に人口減少期に突入した。が、その減少度は地域により差がある(図2)。関西圏(大阪府、京都府、兵庫県の合計)はすでに人口が減少。首都圏(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の合計)も20年がピークと予想されている。しかし、東京都だけは30年まで人口が増え続ける。その後は減少に転じるが、それでも45年時点では15年よりも人口が多い。

したがって東京都を地盤に抱える鉄道会社は、利用者が今後も増え続けるため、混雑対策は喫緊の課題だ。ところが、その先には人口減少社会が確実にやってくる。大幅な輸送力増強に踏み切ることは難しいだろう。
一方で、鉄道各社は設備投資額を年々増やしている(図3の上)。車両の更新・改良、運転保安設備整備、踏切の改良といった安全面の投資に加え、エレベーター、エスカレーター、ホームドアの設置といったサービス面の投資に力を入れている。
この記事は有料会員限定です
残り 612文字
