かつて日本が世界を席巻していた半導体業界。韓国や台湾勢に上位を譲り渡した後も、「日の丸半導体」として戦うルネサスエレクトロニクスが、来るべき自動運転時代の勝者を目指し果敢な買収で攻勢を強めている。ただし、その見通しは順風ではない。
足元の業績は冴えない。2018年12月期の売上高は前期比3.3%減の7546億円。営業利益は同24.5%減の592億円に沈む見込みである。
ルネサス減速の原因とされているのが在庫調整に伴う稼働率の低下だ。16年の熊本地震以降、取引先の半導体商社などで在庫を確保する動きが広がったが、その量が適正水準を超えたことから、生産を抑えざるをえない状況に追い込まれた。工場の稼働率は65%まで低下。主力の車載向け半導体の売り上げも、競合他社が好業績を挙げるのを尻目に、苦戦を強いられている。
巻き返しに向けて仕掛けるのが巨額買収だ。18年9月に米半導体のIDT(インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー)の買収を発表。買収額は約7330億円で、17年2月に買収した米インターシル(現ルネサスエレクトロニクスアメリカ)の約3200億円と合わせると、2年で1兆円もの巨額の買い物である。
ルネサスの呉文精社長は「サッカーワールドカップでいえば、予選通過ではなく優勝を目指す」と力を込めていた。
一方、これらの買収が効果的かという点には疑問も広がっている。IDTが得意とするのはデータセンターや通信設備向け。構造改革で車載や産業機器向けを強化してきたルネサスの注力分野からは外れているからだ。ルネサスは、自動運転で必要なアナログ半導体、マイコン、SoC(システム・オン・チップ)での事業領域拡大を目指すとしているが、ルネサスがもともと得意とするマイコン以外の分野でライバルとどう戦うか、具体的な戦略は不透明だ。また、IDTの純資産は710億円程度。買収による多額ののれん代が発生すると見込まれ、減損リスクを抱えることになる。
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