ミャンマーの2015年の総選挙で圧勝して、実質的に政権を握ったアウンサンスーチー氏だが、その政策運営は順調とは言いがたい。「あまりに期待が大きかったがために、その失望も大きい」「テインセイン前政権ではうまくいっていたのだから、あのときに時計の針を戻したい」と、首都ヤンゴンでビジネスを行っているミャンマー人は苦々しげにつぶやく。
実は筆者も6年ぐらい前、この欄に「スーチーさんには権限も、実行力もブレーンもないのでリスク要因。逆に傀儡(かいらい)かとみられていたテインセイン大統領は意外とやり手で改革が進んでいる」と書き、読者の一部から「あんなすばらしい人物を批判するとはけしからん」とのご批判を受けた思い出がある。だが、事態は筆者の予想どおりに進んでしまっているようだ。
実際に何ら具体的な政策は打ち出されず、とりあえず前政権の方針を否定するばかり。工事が止まり、不動産投資などで海外から流れ込んだ資金は、今や飛ぶように逃げていき、高値だった不動産も下がっている。通貨「ミャンマーチャット」の下落は止まらず物価が上がり、仕事にあぶれた庶民の生活は厳しくなっている。
隣国タイからの物資を輸入する窓口となっているミャワディに行ってみると、ある輸入業者は「現政府は規制だけを厳しくして、物の動きを止めてしまっている」と話す。「賄賂がいけないのは当然だが、だからといってただ締め付けても、実際の経済は回らないよ。学者の机上の空論さ」と批判する。経済低迷に今夏は洪水が重なり、ヤンゴンまでの道路が不通となったが、政府は有効な対策が取れていない。この輸入業者は商売が苦境に陥っているという。
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