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悲鳴を上げる女性の体 仕事&ワンオペ育児で健康被害が続出

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イラスト:熊野友紀子

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夫に頼れない「ワンオペ育児」と仕事の両方を無理に回そうとすると、知らぬ間に女性の体が悲鳴を上げるケースは多い。

メーカー勤務の大島幸さん(仮名・20代)は1歳と3歳の2人の男の子を育てる。第2子は妊娠時、早産一歩手前の切迫早産と診断され、幸さんは医師に1週間の自宅安静を言い渡された。原因は子の送迎と電車通勤の負担だった。

早朝に出掛ける夫には頼れず、妊娠中も長男の保育園送迎は自分の役目。最寄りの園に入園できず、片道20分かけて送迎。妊娠中は時短勤務にしたが、限られた時間で業務を終わらせるプレッシャーもきつく、体が悲鳴を上げたのだ。

出産後も女性の体は変化に襲われる。その一つが乳房に炎症が起こる乳腺炎だ。幸さんも職場復帰後、仕事中にたびたび乳房の痛みに悩まされた。昼休みにトイレの個室に駆け込み搾乳。トイレにこもって搾乳すると、孤独感にも襲われてつらかったと振り返る。

さらに慢性的な肩こりと腰痛、手首の関節が痛む腱鞘(けんしょう)炎にも悩まされた。日々重たくなる子どもを抱っこする親に多い症状だ。夜間の授乳で寝不足も続いたが、やっと第2子の夜間授乳が終わり、以前より眠れるようにはなった。

追い打ちをかける職場の無理解

私は保健師としてこれまで多くの子育てしながら働く女性と接した。彼女たちの多くは夫が多忙なためワンオペ育児&家事。それでも仕事には責任感を持ち、手を抜かない。心も体もつねに張り詰め、気持ちを緩める時間がない。

有給休暇のほとんどは子どもの病気で消化。自分の体に変調を感じても、通院する時間のゆとりがないという女性がほとんどだ。女性の体に追い打ちをかけるのが職場の無理解だ。女性はそもそも体の仕組みやホルモンバランスが男性と違う。男性中心の多くの職場では妊娠中や出産後、子育て中の女性の健康への配慮が置き去りにされていると実感する。

官公庁に勤務する佐藤良子さん(仮名・30代)は3歳の男の子を育児中。仕事の忙しさによるストレスが原因で頻繁に生じる動悸と胃痛に悩まされている。家の引っ越しが重なったときには、体に赤い発疹(はっしん)が帯状に広がる帯状疱疹(ほうしん)にも苦しんだ。さらに最近は、子どもの感染症がうつることも多い。

子どもは発熱が多く、そのたび母は保育園から呼び出される。疲労が重なると免疫力が低下、看病しながら自分も感染してしまう。佐藤さんもつい最近、口の中や手足に水疱性の発疹が出る手足口病に子どもから感染。口内炎で食事ができず、足裏の発疹の痛みで満足に歩けなかった。

精神面でのストレスも働く母を追い詰める。外資系企業に勤める松本香さん(仮名・30代)は2歳と5歳の女の子を育児中。夫は多忙で、自身も帰宅が夜9時を過ぎることもあるハードな職場で働く。近所の実家の親を頼り、何とか育児と仕事をこなしている。

腰痛などもつらいが、最近の一番の悩みは生理前の精神的な不安定さ。「月経前症候群」(PMS)と呼ばれ、女性の多くが経験する。香さんも繁忙期にPMSが重なるとイライラがピークに達し、子どもにきつく当たってしまう。そのたび罪悪感に襲われ、退職すべきかを真剣に悩んでいる。

こうした心身の不調には多くの働く母が直面する。女性自身が体をケアする知識も必要だが、職場の理解も重要だ。そのためには、まずは自身が遠慮せず声を上げること。さらにパートナーの夫も働き方を変え、育児&家事に参加しないと、女性の心身への負担はいつまでも減らないはずだ。

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