有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #医療費のムダ

医療費の中身がわかる領収証の読み解き方 医療相談のベテランがやさしく解説

5分で読める 有料会員限定
  • 山口 育子 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長

生鮮食品のわずかな価格変化には敏感な私たちですが、こと医療の値段は非常に複雑なこともあり、医者任せになりがちです。そのため、本意ではなく医療費を割高に払っていたとしても気づくことができず、気づいたとしても理由がわかりません。やはり患者側も最低限「何で請求され、何に支払っているのか」の知識は持っておきたいものです。

当認定NPO法人は医療費に悩む患者からの相談を長年受けてきました。ここでは私たちに身近な医療の領収証を使って医療費のポイントを解説します。

下写真は私が受け取った実際の領収証です。大まかにいって、医者にかかるときに必ず生じる「基本料」に該当するものと、具体的な医療行為で発生するもの(特掲診療料)に分かれます。前者が「初診料」「再診料」であり、後者が「検査」「投薬」「手術」などといった個々の行為によるものです。

単位は円でなく「点」です。医療費は診療報酬制度という国が定めるルールに基づいていますが、その単位は「点」で表記されます。原則「1点=10円」なので、400点の診療を受けたら4000円、自己負担3割のため1200円というのが患者である私の自己負担額です。

原則10円には、もちろん例外もあります。「え?」とよく言われるのですが、保険外診療(自費診療)については、医療機関が自由に決めていいのです。1点15円も、20円もありえます。以前相談を受けたとある母親のケースですが、息子さんがインフルエンザにかかって、救急外来に連れていった際、うつったら大変だからと自分も予防的にインフルエンザ治療薬を処方してもらった。翌日、費用を精算したら想像よりも格段に高くてびっくりした。相談を持ちかけられた私たちが調べると、「予防的な」投与なので保険が利かない自費診療だったうえ、その病院では自費診療を20円で計算していたためだとわかりました。

初診料について、どのくらいの期間が空けば「初診」扱いになるかご存じですか。実は、医療機関によってまちまちなんです。

「初診」となる期間は医療機関でまちまち

厚生労働省の見解では、患者が自己都合で行かなくなって1カ月以上経過していれば、初診料を請求して構わないとなっています。ですが、さすがに1カ月で初診料を請求する医療機関は聞いたことがありません。「3カ月」が比較的多い印象です。繁忙で予約が取りづらい病院などは「半年」としている場合もあります。気になる人は事前に確認しておきましょう。

再診料で注意すべき点は、「外来管理加算」です。「加算」とは請求条件に合致したときの上乗せ料のことです。診療所や200床未満の病院で、超音波や脳波など特定の検査や治療、リハビリなどを「行わなかった場合」に点数が52点追加されます。何も行わないのになぜ追加料金を払うのかと驚く人もいますが、かかりつけ機能を持った医療機関に認められている加算なのです。

「初・再診料」の項目につく加算にはほかにもいろいろあります。代表的なのは時間外や休日、深夜に受診したときにつく加算です。6歳未満の乳幼児を診たときも加算があります。だいたい上乗せ額は自己負担で数百円程度ですが、深夜の初診の場合は1000円を超えます。また、明細書を随意発行できる体制を診療所が整えていたら患者全員から1点請求できる加算もあります。

具体的な項目に移りましょう。「医学管理等」でよくあるのは「特定疾患療養管理料」。慢性疾患の指導料のことです。糖尿病、高血圧症、気管支炎、胃潰瘍(かい よう)といった病気に対し、月2回まで請求できることになっています。医療機関の規模によっても点数が異なり、診療所では225点が、100床未満の病院では147点が、100床以上200床未満の病院では87点が請求されます。

医学管理等には診療情報提供料、いわゆる紹介状の発行料も含まれます。紹介状は250点で公的保険が適用されますが、一方で医療機関が出す文書は大抵が自費です。勤め先や民間保険会社などに提出する「診断書」「入院証明書」発行は自己負担であり、医療機関によって料金が違います。これも気になるなら事前に料金の確認をしたほうがいいでしょう。

「検査」にはたくさんの種類があり、血液検査や尿検査、超音波検査(エコー)、内視鏡検査(胃カメラ)が含まれます。「画像診断」はX線診断(レントゲン診断)、CT撮影、MRI撮影、PET(陽電子放射断層撮影)が主要項目です。「画像診断」は全体的に高価な印象です。

「手術」は文字どおりさまざまな手術の点数で、眼科のレーザー治療も「光凝固術」として手術に含まれています。「処置」は、傷の手当てや皮膚科のレーザー治療などが該当します。上の領収証では、私は耳鼻科にかかってネブライザー(吸入療法)をやりました。

「投薬」は薬を処方してもらった際にかかる費用です。院内処方の場合は薬剤料(薬代)に加えて処方料、調剤料といった手数料がかかります。今では院外処方も多くなりましたが、その場合は、処方箋の交付料(処方箋料)のみで、別途薬局で薬剤料や調剤料などがかかります。一般的に院外処方のほうが割高です。

必要に応じて明細書も見るといいでしょう。さらに専門的で面食らいますが、私がここで説明した項目の詳細が載っています。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数