中高年の経験や学びを社内に取り入れるべく、2017年春に年齢不問・ポテンシャル重視の“第四新卒”を募集して話題をさらった企業がある。口中清涼剤の「仁丹」で知られる大阪の老舗医薬・食品メーカー、森下仁丹だ。
就職後に短期間で転職を志す第二新卒でも、博士研究員、いわゆるポスドクの第三新卒でもない、第四新卒採用。約2200人が応募し、開発担当を中心に平均50歳前後の10人が採用された。倍率にして約220倍である。
「オッサンも変わる。ニッポンも変わる。」──。森下仁丹が、このようなキャッチコピーで中高年に門戸を開いた背景には、ある危機感があった。
1893年に創業し、現在280人ほどの従業員を抱える同社。次代を担う革新的な人材を確保するべく、ここ10年ほど定期的に新卒を採用してきた。だが、駒村純一社長は「若手を指導し、彼らのモデルとなるような立場の層が薄かった」と話す。
従来は人材紹介会社などを通して断続的にベテラン社員を採用してきたが、「一人ずつ入ってくると社内の環境に染まりやすく、革新的な発想は生まれにくい」(駒村社長)。だからこそ一斉採用に踏み切ったのだ。
第四新卒として採用後、経営企画室長に任命された向井恒年氏は、ソニーに26年間勤めた後、人材紹介会社でヘッドハンターとして活躍していた。53歳のときに仕事として森下仁丹の会社説明会に参加。「ヘッドハンターの仕事は定年退職後にもできる。もう一度事業会社で働きたいと思い、ミイラ取りがミイラになった」と笑う。
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