別府温泉といえば、日本人なら誰もが知る温泉の代名詞のような存在だ。別府温泉という名称は、大分県別府市内に存在する数百にも上る温泉の総称。「別府八湯」と呼ばれる別府、浜脇、観海寺、堀田(ほりた)、明礬(みょうばん)、鉄輪(かんなわ)、柴石(しばせき)、亀川などの温泉が代表的で、湯の湧出量では全国1位を誇る。
その名が全国に知れ渡ったのは、「別府観光の父」とも呼ばれる実業家、油屋熊八氏の功績が大きい。1900年代初頭、彼は「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というキャッチフレーズを考案。全国を行脚して立て札を建立し、別府温泉を多くの日本人に知らせた。
しかし、時代が移って平成に入ると、別府温泉への観光客数は大きく減少した。原因は国内旅行客のニーズの変化だ。別府は静岡の熱海温泉などと並び、社員旅行などの団体旅行で潤ってきたが、徐々に団体旅行が減り、個人旅行へとニーズが移ったのである。
その結果、かつてはひなびた温泉地でしかなかった湯布院が個人客を奪い、別府は多くの人にとって「名前は知っているけど、今さらね」といった印象の“昔のリゾート地”となってしまった。
その別府温泉が今、大変容を見せている。背景にあるのは、増加し続ける訪日外国人客(インバウンド)と富裕層観光客の需要だ。別府市を訪れる外国人宿泊客数は約34万4000人(2016年)と5年前に比べ約6割増加。別府市はこうしたニーズを取り込み、街の活性化につなげている。
ホテル新設も目白押しだ。19年には明礬地区にANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパが開業予定。今年1月に建設工事が着手された。同物件はインターコンチネンタルブランドを展開する英IHGにとって世界初の本格的温泉リゾート。また星野リゾートも市内の既存旅館「花菱ホテル」の株式を取得。建て替えたうえでの再開業を目指している。さらに隣接地では、大江戸温泉物語が「別府ホテル清風」を買収し、こちらはすでにリニューアル開業している。
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