「皆さまには、専門性を大いに発揮していただき、患者本位の『かかりつけ薬剤師・薬局』として活躍していただきたいと思います」
10月8日。都内で開かれた第50回日本薬剤師会(以下、日薬)学術大会の開会式で、安倍晋三首相はそう述べ、薬剤師・薬局への期待を表明した。現職の首相が出席するのは初めて。22日投開票の衆院選が迫っていたという特殊な事情があったとはいえ、薬剤師らは歴史的な出来事に沸き立った。
薬局・薬剤師業界と政治、とりわけ自民党とには、切っても切れない縁がある。1970年代に、院内処方が主流だった医療機関を院外処方に切り替えるよう促す「医薬分業」に国が舵を切って以降、増加し続けている調剤薬局の経営を支えるのは、国が定める「調剤報酬」。2年に1度の調剤報酬改定での予算確保には政治家の手腕が大きく影響した。
自らの業界からも政治家を輩出している。現在の主要な議員でいえば、麻生派の重鎮で国家公安委員長も務めた松本純衆院議員、現環境副大臣の渡嘉敷奈緒美衆院議員らが、薬剤師資格を持ち、日本薬剤師連盟が推薦する自民党議員の代表格。参院では、元厚生官僚の藤井基之氏らを国会に送り込み、次期参院選では新たに製薬企業や薬局での勤務経験のある本田顕子氏を推すことも決めている。
さらに、自民党に「薬剤師問題議員懇談会」なる会議体も設置されている。前述の薬剤師議員のほか、伊吹文明衆院議員(元財務相)を会長に据える。おおむね“日薬の陳情の場”として機能しており、予算編成や税制改正が迫る毎年末には、この会合を通じて自民党の有力者らに要望を伝えている。
そんな日薬が要望している最重要事項は、「調剤報酬だけを特化して引き下げる」ような対応を取らないこと。最近は医療機関の診療報酬を含めて引き下げ圧力が増しているが、国はこれまで、診療報酬を引き下げるならば調剤報酬も同様の割合で引き下げよう、といったバランスを担保してきた。要するに「薬局だけ大幅に引き下げ」を免れている。
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