
大和総研 経済調査部研究員
山口 茜
雇用については、毎月出される次の三つの統計を見ておくとよいでしょう。総務省の「労働力調査」、厚生労働省の「一般職業紹介状況」および「毎月勤労統計」です。
その中で最も話題になるのが、労働力調査で公表される完全失業率です。日本では2%台後半が完全雇用の目安。4月は2.8%と、ほぼ完全雇用状態でしたが、5月は3.1%とやや上昇しました。とはいえ同調査で公表されている求職理由を見ると、新たに仕事探しを始めた人が増えているので、雇用環境が悪化したわけではなさそうです。完全失業率の数値を見るだけでなく、こうした背景を踏まえる必要があります。

また同調査では、男女別や雇用形態(正規・非正規)別、産業別の雇用状況もわかります。近年は女性の就業者数が急激に増えていたり、正規・非正規で雇用者数の伸びに差が見られたりするため、詳細に見る必要があります。
一般職業紹介状況では、有効求人倍率と新規求人倍率がわかります。特に注目されるのは有効求人倍率で、足元の全体的な労働需給を知ることができます。
倍率が1倍を超えると、仕事を探している人よりも、企業の求人数のほうが多い「売り手市場」であることを示します。5月は1.49倍なので、深刻な人手不足の状態がうかがえます。新規求人倍率は、有効求人倍率に先行して動くとされています。
毎月勤労統計では賃金の動向がわかります。注目は現金給与総額。実額も出ていますが、調査対象となる企業が入れ替わるときに連続性が失われるため、指数で見たほうが推移を理解することができます。最近の推移を見ると、人手不足でも、賃金はなかなか上がっていないことがわかります。
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