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リーダーに求められる君子豹変 [INTERVIEW ]野田聖子

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衆議院議員 野田聖子
のだ・せいこ/1960年生まれ。岐阜県議を経て93年の衆院選で初当選、37歳で郵政相に。その後は自民党総務会長など歴任。次期自民党総裁選で出馬を目指す。(撮影:今井康一)

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初当選時に大先輩の竹下登・元首相と面談する機会があったんです。「聖子ちゃん、『悪名は無名に勝る』。これが政治の世界だよ。誰かに悪く言われることがあっても腐らずに選挙に勝つんだ」という話をしてもらいました。トランプさんが米国大統領選挙に勝ったとき、彼が「立派なビジネスマン」だったら泡沫候補で終わったんだろうな、と思いました。

選挙は選挙です。きれい事ではやっぱり勝てないんですよ。私が高校生のときに暮らしたミシガン州は、経済が停滞し白人中間層の人たちは苦労している。トランプさんは選挙に勝つための手段として、その人たちの感情に火をつけ上手に声をすくい上げた。ただ、劇的な勝利を収めた点は評価するけれど、選挙期間中の発言については、よしとしません。

日本にもポピュリズムの波が来ているのかと問われると、すでにやってきているのではないでしょうか。ただ有権者には、ポピュリズム的な政治にくみしている場合ではないという意識があると思いますよ。巨額の財政赤字を抱え人口は減少に転じ、日本がもう抜き差しならないところまで来ているとの不安や危機感を持っているはずです。

私は日本が抱えている問題の本質をちゃんと見極めて、たとえ支持率が落ちるとしても、危機的な状況であることを正直に伝えるべきだと考えています。今は都合の悪いことをあまり言わないでしょ。有効求人倍率の改善も景気が回復したからとしているけど、人口減少でそもそも労働力人口が減っているからだとも指摘できる。

日本電産・永守会長の豹変ぶりに感動した

危機をあからさまにしつつ、「厳しいからこそ何かを作り上げていきましょう」と、共に歯を食いしばることが必要では。私はそういうリーダーになりたいと思っています。今の政権は安倍イズムで「僕についてきてくれたら強い日本になります」という感じだけど、首相一人で背負い込むのはいずれ限界が来るよという思いで警告していきたい。

リーダーに求められる資質は「強さ」ではなく、「君子豹変」だと思います。私が最近感動したのは永守重信さん(日本電産会長兼社長)。日本電産が2020年までに残業ゼロを目指すというニュースを見ました。

以前から永守さんをウォッチしていたけど苦手だったんですよ。ダイバーシティの推進(国籍、性別、障がいの有無などにかかわらず、多様な個性の人々が活躍できる環境の醸成を目指す)などを理解されているかわからなかったし。永守さんの発言には「そんなことを言ったら女性は働けない」というものもあった。

その永守さんが働き方を変える、残業はなくすと言った。君子豹変ができるリーダーです。今まではこうだったけどやっぱり違うんだ、と言い切れる人ですね。働き方に次々とメスを入れているカルビーの松本晃会長も同じでしょう。

あのすばらしさは政治家も見習わないと。政治家は従来の考えを変えると「今まで支えてくれていた票が逃げる」とおそれるわけですが、自分たちのタニマチに気を使ってずっと動かずにいると、多くの国民の感性とはどんどんずれていきますから。

(聞き手:緒方欽一)

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