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衆知を集め機敏な行動を 松下幸之助氏に聞く

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──今年の初め引退説を否定されましたが、今回の正式発表はかなり電撃的でしたね。

松下 心の底にその気持はあったわけで、時期を待っていたということです。商売を始めてから五五年、私も数え年で八〇歳ですからね。創業五五周年にあたって、若い人達に道をゆずることにしたわけです。発表の直前、在阪の常務以上に、一人一人意見を聞いたところ、彼らも賛同してくれた。

──これからは、経営の基本政策立案にタッチされるようなことはないわけですか。

松下 もちろんありません。人事についても同様です。ただ、相談を受けたときは、個人的な考えはいいますが…。関連会社の役員も任期がくれば、逐次やめてゆくつもりでおります。

──新役員に対して六項目の要望事項をだされていますね。

松下 今後のことをいろいろ考えたうえのことです。堀田さんをはじめ社外重役の方々も結構なことではないか、といってくれました。松下は今でこそかなりの規模に成長してきたが、町工場からスタートして、まだどこかにそういう惰性が残っています。しかし、今日から出発する松下はそうであってはならないと思う。日本で十指にはいる会社の社長が、私と同じようなことをしていてはだめです。会長、社長は大所高所から経営をみるような体制でなければね。

──家電産業も安定期にはいり、松下の経営もむずかしい時期にきてますが…。

松下 町工場からやってきたのでどうしてもクサ味があるけれども、これからは大企業にふさわしい姿にならねばだめだ。陋習は吹き払ってほしいし、今までどおりのやり方でいいとは思っていません。ただ、松下の基本理念は変わりません。

──松下の役員は老齢化が目だつといわれますが…。

松下 表面上はそういう感じがしないでもないが、経営者に必要なのは精神的若さですな。それに、松下の場合、事業部制による責任経営だから、各事業部長は実質的にひとつの会社の社長と考えていただきたい。彼ら事業部長たちは年齢的にもまだ若い。

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