「夢は格好いいけど現実的じゃないね」。ある不動産業者は冷たく言い放った。彼が矛先を向けるのはソニー不動産。2014年4月にソニーが新規事業創出の第1弾として立ち上げた会社だ。
そのビジネスモデルは不動産業界独特の慣習とは一線を画す。日本では不動産業者が売り主と買い主、双方の代理人となり、それぞれから仲介手数料を取る「両手取引」が多数を占めている。だが両手取引では、高く売りたい売り主と、安く買いたい買い主とで利益が相反する。双方の代理人となった業者はどちらの利益を優先するのか、矛盾を内包する仕組みでもある。
そこに新風を吹き込んでいるのがソニー不動産だ。同社は売却仲介と購入仲介とを組織的に分け、両部門の間にはファイアウォールを設置。たとえば売却仲介を受けたら、その物件の購入仲介を原則、受けないという「片手取引」を徹底している。
集客や売り出しにはITを活用。効率化も進めており、手数料体系も既存の不動産業者に比べて割安だ。消費者にとってのメリットは大きい。ただ既存の不動産業者にとって、ソニー不動産が成長すればするほどビジネスモデルが大きく崩れていく。冒頭の不動産業者が冷たい反応をしたのはそのためだ。
目指しているのは「リアルエステック」
ソニー不動産はさらに一歩踏み込んだ。昨年11月からヤフーと組んで「おうちダイレクト」のサービスを開始。その詳細は図のとおりだ。
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売り主は不動産業者を介さずにヤフーを通じてネット上に物件を掲載し買い主を探せる。実際の売買の場面ではソニー不動産が仲介するが、売却に伴う手数料はかからない。営業活動は売り主個人がネットを使って行い、ソニー不動産が行うのは物件の引き渡しだけ。販売活動を行わないので仲介手数料は取れない、という理屈だ。
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